2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄単核球細胞由来新規心筋細胞保護的増殖因子の同定
Project/Area Number |
19790543
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
松浦 勝久 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 助教 (70433993)
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Keywords | 拡張型心筋症 / 骨髄単核球 / 顆粒球 |
Research Abstract |
前年度に我々は、健常マウス由来骨髄単核球細胞中のGr-1陽性細胞(顆粒球系細胞)の培養上清を投与することにより、拡張型心筋症マウスの心機能を改善すること、新生仔ラット心筋細胞への添加により、心筋細胞の収縮率改善効果を確認し、一方この効果は、拡張型心筋症マウスの骨髄由来Gr-1陽性細胞では確認されないことを見出し、健常マウスおよび拡張型心筋症マウスの骨髄Gr-1陽性細胞の遺伝子発現の差異を明らかにすることで、新たな心筋保護的増殖因子を同定することを目的に、DNA microarrayを行い、複数の候補遺伝子を同定した。今年度は、real time PCR、ELISAを行い、Arrayによって得られた候補遺伝子の発現の差異を確認した結果、一種類の候補遺伝子に同定に至った。この遺伝子のリコンビナント蛋白を添加すると、新生仔ラット心筋細胞は、Gr-1陽性細胞培養上清と同様に心筋収縮率の改善効果を示した。一方、Gr-1陽性細胞培養上清による新生仔ラット心筋細胞の収縮率改善効果、及び拡張型心筋症モデルマウスへの経静脈的投与による左室収縮能改善効果は、この候補因子の阻害剤投与により有意に抑制された。さらに拡張型心筋症マウスの末梢血中の蛋白を解析したところ、候補遺伝子の発現は有意に低く、一方候補遺伝子の発現を負に制御することが知られている上流の蛋白の発現が有意に高いことが確認され、拡張型心筋症に伴い心不全を発症することによって、Gr-1陽性細胞からの心筋保護的増殖因子の発現が抑制され、心不全増悪の一因となっている可能性も示唆された。以上より骨髄単核球細胞移植による、拡張型心筋症モデルマウスの心機能を改善効果の一機序として、骨髄由来Gr-1陽性細胞の分泌する特定の因子によるパラクリン効果が示唆された。
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Research Products
(1 results)