2007 Fiscal Year Annual Research Report
左室拡張能と炎症反応性蛋白による心房細動、脳梗塞の予測と予後に関する検討
Project/Area Number |
19790544
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
宮坂 陽子 Kansai Medical University, 医学部, 助教 (10343675)
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Keywords | 左室拡張能障害 / 心房細動 / 脳梗塞 / 心エコー / 肥満 |
Research Abstract |
左室拡張能障害は左室収縮能から独立した心血管系イベントの危険因子である。また肥満も心血管系イベントの危険因子として現在注目されている。しかし、肥満が独立して左室拡張能障害に関与するか否かは十分に検討されていない。そこで我々は、心臓超音波検査を予定された成人患者のうち、既往に心房性不整脈、ペースメーカー植え込み術、脳血管障害、弁膜症、先天性心疾患のない患者を連続して評価し、左室拡張能障害に肥満が独立して関与する因子か否かを評価した。肥満はBMI値30kg/m^2以上と定義した。左室拡張能は、左室流入血流速波形、肺静脈血流速波形、組織ドプラ血流速波形の拡張早期波最大流速による分類を用い評価した。左室拡張能障害に関与する因子を多変量解析を用いて検討した。心臓超音波検査を行った1209人のうち、全ての基準を満たす705人を対象とした(平均年齢58±16歳、男性15%、肥満8%、冠動脈疾患16%、高血圧症43%、糖尿病18%)。うち560人(79%)に左室拡張能障害を認めた。左室拡張能障害は年齢の上昇(オッズ比2.5,95%信頼区間1.1-5.6,P=0.030)、女性(オッズ比1.5,95%信頼区間1.0-2.2,P=0.038)と有意に関係があった。多変量解析を用いて年齢、性別、冠動脈疾患、糖尿病、高血圧の関与を除外すると、肥満は左室拡張能障害と有意な関係が認められた(オッズ比2.3,95%信頼区間1.1-6.2,P=0.037)。今回の結果から、肥満は左室拡張能障害に独立して関与する因子であることが示唆された。今後肥満は増加していくことが予測され、ひき続き左室拡張能障害と肥満、将来の心房細動・脳梗塞発症の関与に関して調査が必要であり、現在研究を継続中である。
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Research Products
(3 results)