2008 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性ペプチドの特異性を生かした新しい循環器疾患治療法の開発
Project/Area Number |
19790548
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
徳留 健 National Cardiovascular Center Research Institute, 病因部, 室長 (00443474)
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Keywords | ANP / BNP / GC-A / 心肥大 / RGS4 / カルシニューリン |
Research Abstract |
ANP・BNPの受容体であるGC-Aのノックアウトマウス(GC-A-KO)は心肥大を来す。最近我々は内因性ANP, BNPが、Protein Kinase G (PKG)の活性化を介してCalcineurin (CN)系を抑制することにより、心臓リモデリングを抑制することを報告した。しかし、どのようなメカニズムでGC-A/PKG系がCN系を抑制するかは不明である。G蛋白のGTPase活性を増強する因子としてRGSが注目されているが、最近RGSはPKGによりリン酸化され、活性化されることが明らかとなった。そこで我々は本年度の計画に従い、内因性ANP, BNPの心肥大抑制効果におけるRGSの関与について検討した。免疫組織学的検討では、マウス心筋においてはRGS4が多く発現していた。培養心筋細胞において、ANPはRGS4をリン酸化し、RGS4とGqの結合を促進した。これらの作用はPKG阻害剤であるKT5823により抑制された。GC-A拮抗薬であるHS-142-1の処置により、RGS4のリン酸化およびRGS4とGqの結合は抑制された。ET-1刺激によるIP3産生、心肥大関連遺伝子発現およびCN系の活性化はANPによって抑制されたが、その効果はRGS4の優性変異体遺伝子導入下では消失した。GC-A-KOの心臓では、リン酸化型RGS4量は野生型の約15%、全RGS4蛋白量は約50%に低下していた。次に我々は心筋特異的RGS4過剰発現マウスを作成し、GC-A-KOと交配させた(KO+Tg)。KO+Tgでは、心重量/体重比、心筋細胞表面積、心肥大関連遺伝子発現およびCN系がGC-A-KOに比し抑制されていた。また心エコー上、左室拡大、中隔・後壁壁厚増加も抑制されていた。結論 : 内因性ANP, BNPはRGS4を活性化することによりCN系を抑制し、心臓リモデリングを抑制している可能性が示唆された。
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