2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790557
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小林 和幸 Kobe University, 医学系研究科, 医学研究員 (50403275)
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Keywords | 大量免疫グロブリン療法 / 気管支喘息 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
1.マウスにrabbit IgGを静脈投与し血中および気道内のIgG濃度を経時的に観察したところ、FcRn欠損マウスでは野生型に比べ早期(24時間後)に血中、気道中ともに検出感度以下まで低下した。外因性のIgGに対してもFcRnは生存延長に働いていることが証明され、また、IgGが容易に血管から気道内に輸送されることも併せて示唆された。 2.外因性IgG投与による喘息表現型への関与を見るため、OVA喘息マウスにrabbit IgGの投与を行ったところ、IgGの濃度依存性に気道炎症が抑制され、気管支洗浄液中の好酸球数、気道過敏性が抑制された。臨床で報告されている気管支喘息の大量免疫グロブリン(IVIg)療法をマウスモデル化したものと考え、以下の実験を行った。 3.IVIg療法は自己免疫疾患ではFcRnを介する機序が報告されていることから、喘息に対するIVIg療法でのFcRnの役割を検討するため、FcRn欠損(KO)マウスに同様に、IgGの静脈投与療法を行ったが、効果に差は認められず、FcRnを介する機序は否定された。 4.IVIg療法の作用機序として、他のIgGのFcレセプターを考慮し、各種FcRのKOマウスにIgG静注治療を行ったところ、FcRIIBKOマウスのみIVIgの効果が見られなかったことよりFcRIIBを介した機序を想定した。気管支喘息の抗原提示細胞である気道粘膜下の樹状細胞(DCs)に着目し、無治療喘息マウスとIgG投与喘息マウスに蛍光標識したOVAを気道投与したところ、気道所属リンパ節へのDCsによる抗原輸送がIgGにより抑制されること、また、同マウスより単離培養したDCsの活性化もIgGの存在下で抑制されることが明らかとなった。 以上の知見から、外因性にIgGを静脈投与することで気道樹状細胞上のFcRIIBを介して気管支喘息を抑制することが証明された。
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