2008 Fiscal Year Annual Research Report
嚢胞腎進展におけるMAPkinaseカスケードの解析~阻害剤による治療薬の検討~
Project/Area Number |
19790587
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
杉山 紀之 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 助教 (90381954)
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Keywords | 嚢胞腎 / NPHP / MAP Kinaseカスケード |
Research Abstract |
本研究はNPHPモデルマウスとしてのinv PRマウスの嚢胞腎での細胞増殖に関わるシグナルカスケードを解析し、さらに治療薬の開発基盤を作ることを目的として、inv PRマウスの嚢胞腎で変化しているシグナルカスケードの同定およびそのシグナルカスケードの阻害剤の投薬実験を行った。その結果、NPHP2のモデルマウスにおいてErkカスケードの抑制することが嚢胞化の抑制に非常に効果があることが明らかにした。さらに活性化している可能性が高いp38 MAPkinase pathwayとWnt canonical pathwayに注目して解析を行った。 p38 MAPKinaseはErkと同様に嚢胞化初期から活性化していた。そこで、その阻害剤投与を行ない、嚢胞の大きさ、細胞増殖および細胞死を比較したが、p38 MAPKnaseを阻害しても変化はない。すなわち、p38 MAPKinaseは嚢胞化と無関係である可能性が高いことが示唆された。Wnt canonical pathwayの解析はレポーター遺伝子を導入したトランスジェニックマウスとの交配により、シグナルの有無を検討した。しかしながら、どの時期においてもWnt canonical pathwayの異常な活性化は認められなかった。さらに生化学的手法を用いて解析を行ったが、同様に差異は認められなかった。したがって、既に報告があるinvとWnt canonical pathwayの関係は否定された。 以上の結果から、嚢胞腎進展にはErkシグナルが重要であることが再確認された。既にErkl nullマウスとErk2 conditional knokckoutマウスの交配を行い、尿細管上皮細胞特異的なKsp-CRE transgenicマウスを用いて、Erk1/2ダブルノックアウトマウスを作製している途中である。既に、最初の個体が回収できている。今後、invPRマウスと交配することにより、嚢胞化とErkの関係を詳細に解析できる事が可能となった。 これらの研究進展は計画通りであり、さらにErkダブルノックアウトマウスを解析することにより、NPHPの嚢胞化の分子機構の解明並びに治療につながる基盤作りを推し進める研究になる事が期待される。
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Research Products
(5 results)