2008 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームにおける腎障害進展のメカニズムの解明
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19790598
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
槇野 久士 National Cardiovascular Center Research Institute, 動脈硬化代謝内科, 医師 (80399609)
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Keywords | メタボリックシンドローム / Na利尿ペプチド / 糸球体上皮細胞 |
Research Abstract |
内因性Na利尿ペプチド系がメタボリックシンドローム関連腎障害進展に及ぼす効果を明らかにするためにAtrial natriuretic peptide, Brain natriuretic peptideの受容体であるguanylyl cyclase A (GC-A)遺伝子欠損マウスの高脂肪食負荷モデルを用いて検討した。高脂肪食負荷4週後より正脂肪食群に比し、WT、GC-A KOとも明らかな体重の増加を認めた。高脂肪食負荷後8週でGC-A KOでは対照マウス(WT)に比し、有意な尿アルブミン排泄の増加を認め、光顕像(PAS染色)では明らかな糸球体の肥大を認めた。また電子顕微鏡による解析でも糸球体基底膜の肥厚、上皮細胞足突起の癒合が認められた。このようにGC-A KOでは高脂肪食負荷において糸球体上皮細胞障害が増悪することが明らかになった。定量的PCRにて糸球体上皮細胞特異的分子であるnephrinの発現低下を認めた。また免疫染色による検討において細胞周期調節蛋白で細胞周期抑制に働き、糖尿病性腎症の糸球体上皮細胞障害に関与していることが報告されているp27, p57の発現が高脂肪食負荷GC-A KOでWTに比し発現が亢進していた。一方糖尿病性腎症の進展に強く関与していることが報告されているVascular endothelial growth factorやTransforming growth factor-βの遺伝子発現や炎症関連の分子であるMonocyte chemoattractant protein-1蛋白の発現は高脂肪食モデルにおいてWTとGC-A KOで有意な差を認めなかった。これらの結果から内因性のNa利尿ペプチド系が細胞周期抑制分子の亢進による糸球体上皮細胞障害に対し保護的に働くことにより、メタボリックシンドローム関連腎障害に保護的に働いている可能性が示唆された。
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