2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経原性慢性疼痛における軸索イオンチャネル機能の解析と効率的治療法の確立
Project/Area Number |
19790600
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三澤 園子 Chiba University, 大学院・医学研究院, 助教 (30375753)
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Keywords | 生理学 / 神経科学 / 糖尿病 / 神経原性疼痛 |
Research Abstract |
本研究は末梢神経障害による神経原性慢性疼痛における軸索イオンチャネルレベルの病態解明と病態に応じた効率的治療法の確立を目的とする。 神経原性疼痛には再生に伴う軸索のNaチャネルの過剰発現による興奮性増大が関係するとされる。軸索イオンチャネル機能を非侵襲的かつリアルタイムに評価できる唯一の手法であるコンピューター制御軸索機能検査法を神経原性慢性疼痛患者の末梢感覚神経に応用し、 (1) 糖尿病性末梢神経障害の感覚神経軸索における軸索Na電流変化と疼痛の関係を解明すること (2) 神経原性疼痛に対する塩酸メキシレチン(Naチャネルブロッカー)治療に際し、軸索Na電流のモニタリングを行い、投与量の設定や、responder、non-responderの予測を行うことを目的とし、研究を進め、現在までに以下の成果が得られ、論文投稿中である。今後は、糖尿病性末梢神経障害以外の末梢神経疾患患者多数例における疼痛のイオンチャネルレベルの病態機序について、検討を進める予定である。 (1) 糖尿病患者80名において橈骨神経感覚軸索Na電流を測定し、軸索Na電流の増大と疼痛が相関するという結果をえた。 (2) 神経原性慢性疼痛患者20名において、塩酸メキシレチン投与前及び後の軸索Na電流を測定し疼痛のある患者では軸索Na電流が亢進し塩酸メキシレチンにより低下することを示した。 これにより、神経原性疼痛の機序の一つとして、軸索Na電流の増大があること、薬物治療効果の客観的評価の可能性があることを、ヒトで初めて示した。
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