2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790601
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 雄也 The University of Tokyo, 医学部附属病院, リサーチフェロー (20431843)
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Keywords | ADAR2 / RNA編集 / 筋萎縮性側索硬化症 / microRNA / AMPA受容体 |
Research Abstract |
孤発性筋萎縮性側索硬化症(ALS)の脊髄運動ニューロン死に密接に関連するグルタミン酸受容体であるAMPA受容体GluR2サブユニットのRNA編集低下は、RNA編集に関わる酵素であるadenosine deaminase acting on RNA type2(ADAR2)の活性低下により引き起こされる。ADAR2の酵素活性を修飾しうるmicroRNAs(miRNAs)を検索し、ADAR2の酵素活性を上昇させることは孤発性ALSの治療に役立つと考えられる。 昨年度開発したRNA編集率測定培養細胞株TetHeLaG2mを用い、引き続き編集率を変化させるmiRNAsの検索を行なった。3種のmiRNAsでGluR2 Q/R部位のRNA編集率が変化した。ADAR2の酵素活性を変化させた分子メカニズムの検討のために、ADAR2 mRNA、GluR2ミニ遺伝子転写物の発現レベルの定量を行なった。2種のmiRNAsはADAR2活性を抑える作用があり、その分子メカニズムが、ADAR2 mRNA対GluR2ミニ遺伝子転写物比(酵素対基質量比)依存的であることを明らかにした。1種のmiRNAsにはADAR2活性賦活作用があったがADAR2mRNA、GluR2ミニ遺伝子転写物の発現レベルに変化は無かった。このことからADAR2活性には報告されているADAR2mRNAの発現量以外にもADAR2活性を制御する因子があることが示唆された。ADAR2の酵素活性を上昇させたmiRNAsのinvivoにおけるADAR2活性賦活作用を検討するための良いパラメータがなかったため、ADAR2の新規基質を検討した。その結果、cytoplasmic fragile X mental retardation protein interacting protein 2(CYFIP2)K/E部位のRNA編集率がコンディショナルノックアウトマウスにおいてもADAR2の酵素活性をよく反映することを見出した。miRNAsにADAR2活性賦活作用があることが明らかとなり、孤発性ALsの治療に繋がると考えられた。今後はこの系を用いADAR2の酵素活性を上昇させたmiRNAsの効果について検討を行う必要がある。
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