2007 Fiscal Year Annual Research Report
抗中性糖脂質抗体の神経疾患における作用の解明と診断マーカーの確立
Project/Area Number |
19790619
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
三原 貴照 Fujita Health University, 医学部, 講師 (20449458)
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Keywords | GlcCer / GalCer / 自己抗体 / NHLE / Trk |
Research Abstract |
辺縁系脳炎合併の再発性多発軟骨炎患者の治療前血清においてのみ抗中性糖脂質抗体が検出されたが、抗体のシグナル伝達に及ぼす機序は不明である。そこで、細胞膜脂質ラフトに存在しシグナル伝達に大きく影響するTrk神経栄養因子(NGF)受容体を介したシグナル伝達系への作用の実態を検討した。Trkを高発現するstable transfectantであるPCTrk細胞を用い、抗体陽性患者血清(×500)を30分作用させ細胞をcold PBSで集めた.その後TritonX+TNE bufferを加えてhomogenizeし蔗糖密度勾配超遠心(18K,18時間)を行った.各fraction(1m1)に分画し各フラクションをイムノブロットした.結果、ラフト画分に存在するTrkの量は庶糖密度勾配法を用いた分画後の免疫染色で減少していたことから、抗中性糖脂質抗体により細胞膜上のTrkが活性化されて細胞内により多くinternalizeされると考えられた。次に、whole cellを用いた検討ではMAPK,Aktなどのセリン・スレオニンキナーゼのリン酸化を促進しており、同時に細胞内にチロシンおよびセリン・スレオニン残基の蛋白リン酸化反応も惹起した.これらの結果は、本抗体は細胞膜上に存在する抗原に対して作用する際、同時に細胞内外のシグナリングを司る細胞膜脂質ラフトにも作用して細胞内に新たなシグナルを惹起させる可能性を示唆していると考えられた.この結果を第48回日本神経学会総会において発表した。 また、抗中性糖脂質抗体のスクリーニングを各種神経疾患において行った。結果、脳脊髄根末梢神経炎患者の治療前血清において抗体陽性であり、治療後は消失していることが判明した。この結果を第12回日本神経感染症学会総会で発表した。
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Research Products
(3 results)