2007 Fiscal Year Annual Research Report
リピート伸長疾患における異常なRNAの発現とその細胞毒性
Project/Area Number |
19790620
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
紀 嘉浩 The Institute of Physical and Chemical Research, 構造神経病理研究チーム, 基礎科学特別研究員 (80415140)
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Keywords | 神経変性疾患 / ハンチントン病 / CTGリピート / 筋強直性ジストロフィー / 選択的スプライシング / ポリアラニン |
Research Abstract |
本研究では、CTGリピート配列伸長による神経変性疾患であるHuntington's disease-like 2 (HDL2)をモデルとして、RNAリピート配列の発現がもたらす細胞毒性の有無を検討する。CTGリピート伸長による疾患としては筋強直性ジストロフィーが知られるが、HDL2は臨床上、CAGリピート伸長疾患であるハンチントン病と酷似した症状を呈する。HDL2原因遺伝子であるJPH3からは、CUGリピートを持つRNAが生じ、さらにポリアラニンやポリロイシンを持つタンパク質が生じる。これらのうち、どの産物が神経毒性に寄与するかを明らかにし、ハンチントン病や筋強直性ジストロフィーの発症機構との比較解析を行うことにより、神経変性に関わる特異的な要因を見出すことが期待できる。 これまでに、異なったCTGリピート長を持つJPH3ミニ遺伝子を作製し、培養細胞における発現実験を行った。作製した発現コンストラクトからは、選択的スプライシングによる複数のJPH3遺伝子産物の発現を確認することができた。各種のJPH3タンパク質は特徴的な細胞内局在を示し、また、リピート長依存的に性質や毒性が変化することが示唆された。現在、ハンチントン病の発症機構に深く関わるとされる転写障害やタンパク質分解の異常、あるいは筋強直性ジストロフィーで見られるスプライシング異常が変異型JPH3によっても引き起こされるかを検討中である。さらに、JPH3遺伝子自体の発現を変化させるタンパク質を見出した。このタンパク質はHDL2の病態修飾因子として機能する可能性があるので、JPH3の毒性への影響を検討する予定である。
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