2008 Fiscal Year Annual Research Report
リピート伸長疾患における異常なRNAの発現とその細胞毒性
Project/Area Number |
19790620
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
紀 嘉浩 The Institute of Physical and Chemical Research, 構造神経病理研究チーム, 研究員 (80415140)
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Keywords | リピート伸長 / 神経変性 / 選択的スプライシング / ハンチントン病 / 筋強直性ジストロフィー / RNA結合タンパク質 / junctophilin-3 / ポリアミノ酸 |
Research Abstract |
本研究では、CTGリピート配列伸長による神経変性疾患であるHuntington's disease-like 2(HDL2)をモデルとして、RNAリピート配列の発現がもたらす細胞毒性の有無を検討する。CTGリピート伸長による疾患としては筋強直性ジストロフィーが知られるが、HDL2は臨床上、CAGリピー卜伸長疾患であるハンチントン病と酷似した症状を呈する。HDL2原因遺伝子であるJPH3からは、CUGリピー卜を持つRNAが生じ、さらにポリアラニンやポリロイシンを持つタンパク質が生じる。これらの遺伝子産物の発現や特性を理解し、ハンチントン病や筋強直性ジストロフィーの発症機構との比較解析を行うことにより、神経変性に関わる特異的な要因を見出すことが期待できる。 これまでに、異なったCTGリピート長を持つJPH3ミニ遺伝子を作製し、培養細胞における発現実験を行った。作製した発現コンストラクトからは、選択的スプライシングによる複数のJPH3遺伝子産物の発現を確認することができた。各種のJPH3タンパク質は特徴的な細胞内局在や凝集性を示し、また、リピート長依存的に性質や毒性が変化することが示唆された。興味深いことに、RNA結合タンパク質であるMBNL1がJPH3遺伝子の選択的スプライシングを変化させることを見出した。MBNL1はCUGリピート結合タンパク質として筋強直性ジストロフィーの発症機構に関わるが、CAGリピート伸長疾患の一つである脊髄小脳失調症3型の病態修飾因子である可能性も最近報告されている。これらから、MBNL1がHDL2やその他複数のリピート伸長疾患に共通した病態修飾因子である可能性が考えられる。
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