2008 Fiscal Year Annual Research Report
分子イメージング手法を用いるアルツハイマー病におけるグリア細胞の役割に関する研究
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19790621
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
季 斌 National Institute of Radiological Sciences, 分子イメージング研究センター, 主任研究員 (80392223)
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Keywords | PET / Glia / Alzheimer / PBR / PBR ligand |
Research Abstract |
本研究において、研究代表者らは市販抗体より遙かに特異性の高い抗末梢性ベンゾジアゼピン受容体(PBR)抗体の作製に成功した。このオリジナル抗体を用いて、種々神経変性疾患動物モデルにおける脳内グリア細胞のPBRを調べた結果、神経変性の種類により、グリア細胞におけるPBRの発現パターンが大きく異なることが明らかになった。可逆的な神経障害において、PBRは主にアストロサイトに神経栄養因子GDNFと共に強く誘導され、神経組織の修復・再生に働くが、ミクログリアには、その発現が非常に低い。不可逆な神経障害において、PBRは主にミクログリアに発現し、障害された神経細胞を排除するに働くことを明らかにした。以上の研究結果により、ミクログリア活性化に伴う活性酸素の生産や炎症性サイトカインの分泌はPBRの誘導発現に関わる可能性が示唆されたため、研究代表者らは炎症性サイトカインの生産の低いと高い株化ミクログリア細胞を、それぞれAlzheimer病モデルマウスAPP23に移植し、経時的にアミロイド放射線標識トレーサー^<11>C-PIB、及びPBR放射線標識トレーサー^<18>F-FEDAAで、モデル動物を生かしたまま、アミロイドの沈着をPBR発現を画像化し、炎症性因子の生産能の低いと高いミクログリアによるアミロイド沈着への影響を調べた。その結果、炎症性因子産生能の低いミクログリアの移植により、APP23マウスの脳内アミロイド沈着が軽減されたのに対して、炎症性因子産生能の高いミクログリアの移植はマウスの脳内アミロイド沈着に影響しなかった。更に、炎症性の低いミクログリアのPBR発現は炎症性の高いミクログリアに比べ、遙かに低いこととアミロイド沈着を除去すると考えられた内因性ミクログリアに発現するPBRは極めて低いことから、PBRは単なるミクログリア細胞の活性化を反映するバイオマーカーよりも、むしろ炎症性ミクログリアを反映する機能性指標であることを示唆した。本研究により得られた知見は臨床研究で得られる所見を新たな視点から解析することに実験的根拠を提供した。
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