2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本人多発性硬化症に対するインターフェロン治療の免疫学的評価と有効性の予測
Project/Area Number |
19790622
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
蕨 陽子 (柴崎 陽子) Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (30399464)
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Keywords | 多発性硬化症 / インターフェロン / neuromyelitis optica / 神経科学 / 脳神経疾患 / 免疫学 / 抗AQP4抗体 |
Research Abstract |
日本人多発性硬化症(MS)患者に対するインターフェロンベータ-1b (IFNB-1b) 治療の効果を免疫学的に評価し、さらに有益な予防効果を発揮させることを目的として研究を行った。本年度は、臨床的な発作が1回以下だがMSが強く疑われるためにIFNB-1b療法を導入した患者5名(導入時平均年齢30才)の経過について後ろ向き研究を行った。その結果、平均3.9年間の経過観察中、全例で明らかな再発はなく、5名中4名はMRIでの病変増加もなかった。さらに5名中3名がIFNB-1b導入後に結婚した。よって、欧米からの報告と同様に日本人においても、MSの発病早期からIFNB-1b療法を導人することで、再発や病変の増加を抑制し、患者の生活の質(Quality of life)の維持にも役立つ可能性が示唆された。ただし、5例中4例の初診理由が脳幹脊髄病変であったため、日本人に多いneuromyelitis optica (NMO)との鑑別を慎重に行う必要があった。なぜなら、我々がこれまでに研究報告してきたように、NMO患者にIFNB-1b療法を行うと病状の悪化や強い副作用が出現する恐れがあるからである。よって、日本人MS患者にIFNB-1b早期導入を行って治療効果を適切に発揮させるためには、NMO患者を除外し、欧米型MSへ進展する患者のみを適切に抽出することが最も重要であり、欧米の診断基準に加えて、日本独自の導入基準を検討する必要があると考えた。その一助として、抗AQP4抗体の新たな検出方法の開発を試み、pIRES2-EGFPベクターにヒトAQP4全長配列を組み込み、それをCHO細胞にトランスフェクションし、安定株を確立し、FACSで定量する方法を現在解折中であり、次年度から患者血清での測定に入る予定である。
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Research Products
(1 results)