2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規2型糖尿病動物モデル膵β細胞グルコシルトランスフェラーゼ欠損マウスの解析
Project/Area Number |
19790624
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
水上 浩哉 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 助教 (00374819)
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Keywords | グルコシルトランスフェラーゼ / セラミド / 2型糖尿病 / ガングリオシド / Cre-loxP / 膵ベータ細胞 |
Research Abstract |
Glucosyltransferase(GT)は強力なアポトーシス誘導因子として知られているセラミドの代謝及びガングリオシドへの合成を律速する酵素である。肥満型2型糖尿病モデルマウスではセラミドの膵β細胞への蓄積、アポトーシスの誘導が報告されている。膵β細胞GTの2型糖尿病における役割をinvivoで検討するため、PDX-1プロモーターにより発現が制御されたCre発現マウスとGT遺伝子領域にloxP siteを導入したマウスをあわせて膵β細胞特異的GTノックアウトマウス(GT KO)を作成した。GT KOおよびControlより膵島を単離し、GT DNAの組み換えをPCRにて、GT mRNA発現をreal time PCR法にて検討した。DNA組み換えでは、GT KOでは膵島でのみDNA組み替えバンドが認められた。他の組織及びControlではDNAの組み換えは認められなかった。膵島GT mRNA発現はControlに比し、約20%まで低下していた。以上のことから膵β細胞特異的にGT遺伝子のノックアウトが達成されたと考えられた。GT KOの体重、随時血糖、空腹時血糖は4ヶ月齢までにControlとの違いが認められなかった。このことはRat InsulinプロモーターによるCreマウスを用いたノックアウトマウスとは対照的な結果であり、PDX-1 Creマウスは血糖への影響は少ないと考えられた。2g/KGの経口糖負荷テストでは、GT KOで耐糖能の減弱傾向が認められた。摘出膵臓の形態では、4ヶ月齢でGT KO膵島面積、β細胞BrdU取り込み能の加傾向が認められた。今回の結果では期待されたセラミドの蓄積による膵β細胞脱落は認められなかったが、膵島の軽度過形成が認められた。セラミドの蓄積を回避するための代償性の膵島過形成の可能性があり、より長期の観察が必要と考えられた。
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