2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規2型糖尿病動物モデル膵β細胞グルコシルトランスフェラーゼ欠損マウスの解析
Project/Area Number |
19790624
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
水上 浩哉 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 助教 (00374819)
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Keywords | グルコシルトランスフェラーゼ / セラミド / 2型糖尿病 / ガングリオシド / Cre-loxP / 膵ベータ細胞 / ラットインスリンプロモーター |
Research Abstract |
前年度作製された膵β細胞特異的グルコシルトランスフェラーゼノックアウトマウス(GT KO)を用いて長期間経過観察を行い、膵β細胞の変化を検討した。8ヶ月齢での体重、随時血糖、空腹時血糖、グルコース応答インスリン分泌はコントロールに比し明らかな変化が認められなかった。2g/kg経口糖負荷テストでは、GT KOで耐糖能の減弱傾向が認められた。摘出された膵組織では、8ヶ月齢においてもGT KO膵島面積の増加傾向が認められたものの、期待されたβ細胞の脱落は認められなかった。12ヶ月齢においても8ヵ月齢と同様の結果であった。8ヶ月齢単離膵島を用いたThin-layer chromatographyによる脂質の検討では、GT KO膵島ではコントロールに比しガングリオシド合成低下が見られた。しかしながら、セラミドの貯留は軽度であった。また、単離膵島を用いたインスリン分泌実験においてもGT KOとコントロールでは明らかな差が認められなかった。 今回の結果はRIP-Creマウスを用いた予備実験結果とは明らかに異なっている。RIP-Creマウスを用いたときには12ヶ月齢でGT KOβ細胞にアポトーシスが観察されたが、PDX1-Creマウスでは認めることが出来なかった。これはマウスのバックグラウンドの違い、インスリンプロモーターとPDX-1プロモーターの活性の違いによる可能性が考えられた。現在、インスリン分泌不全のないC57BL/6背景のRIP-CreとGT-loxPマウスを交配しており、より正確な膵β細胞におけるGTの機能が解明されつつある。また、さらなるセラミド代謝への負荷を与えるため、肥満型糖尿病モデルであるob/obマウスとGT KOの交配も試みており、β細胞アポトーシスが期待される。
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