2007 Fiscal Year Annual Research Report
非アルコール性脂肪肝の病理学的自然歴を規定する臨床像と肝発現遺伝子プロファイル
Project/Area Number |
19790627
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
濱口 えりか Kanazawa University, 医学系研究科, 協力研究員 (10436818)
|
Keywords | NAFLD / 肝生検 / インスリン抵抗性 / NASH |
Research Abstract |
平成19年度は 1.NAFLD患者の肝病理像に寄与する臨床像、臨床マーカーの抽出 平成18年度までに蓄積してきたNAFLD患者179名の糖負荷試験、または正常血糖下高インスリンクランプ試験によるインスリン抵抗性の評価、ならびに臨床マーカー;1)脂質代謝マーカー2)糖代謝マーカー3)脂肪細胞関連生理活性物質4)肝機能検査・肝線維化マーカー5)メタボリックシンドロームの活動性の指標となる炎症性マーカー7)肝内鉄蓄積マーカー8)血算 を患者末梢血液にて測定し、データベースを作成した。これら臨床マーカーとBrunt分類による肝病理像(脂肪化、線維化、肝細胞変性)スコアとの関連を多変量解析・重回帰分析によって検討し、肝脂肪化ではBMI,IRI,HOMA-Rといったインスリン抵抗性マーカー、肝線維化では肝線維化マーカーであるヒアルロン酸、肝細胞変性についてはAST・脂肪細胞関連生理活性物質であるレプチン・肝内鉄蓄積マーカーであるフェリチンが各病理像の予測因子であることを明らかにした。また、肝組織の中等度線維化を有する(線維化マーカー2、脂肪化マーカー2以上)NAFLD患者において肝細胞変性を有するとレプチン、AST上昇を認め、これらマーカーが初期のNASH患者の予知マーカーとなりうる可能性がある. 2.連続肝生検NAFLD患者の肝病理像、臨床像の自然歴観察 連続肝生検NAFLD患者28名の臨床データベースを作成した。肝病理像の線維化については28名中10名(35.7%、うち3人はNASH)は不変であった。10名(35.7%)では組織像が悪化し、うち3名が単純性脂肪肝(FL)からNASHに悪化した。8名(28.5%)は組織像は改善し、うち5名がNASHからFLに改善した。NASHからFLへの改善を認めたNAFLD合併肥満2型糖尿病患者において、血糖コントロールの改善によって肝脂肪化、線維化が改善しうることが明らかとなった。
|