2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞骨格制御によるインスリン顆粒の動態調節機構の解析
Project/Area Number |
19790636
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
木村 俊秀 Oita University, 医学部, 助教 (60404373)
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Keywords | 低分子量Gタンパク質 / インスリン / 膵B細胞 / エンドサイトーシス / Rab27a / 糖尿病 / 細胞骨格 / coronin |
Research Abstract |
本研究では、膵B細胞に発現し開口放出上流に関与すると示唆されている低分子量Gタンパク質Rab27aを介したインスリン顆粒の新たな動態調節機構を明らかにすることを目的とする。アフィニティーカラムクロマトグラフィーより、Rab27a結合分子としてアクチン束化活性を持つタンパク質coronin3を同定した。細胞内におけるcoronin3とRab27aの結合は、免疫沈降法によって確かめた。マウス膵島を免疫染色した結果、coronin3は膵B細胞の細胞質に分布しており、その一部はRab27aと共局在していた。Coronin3とRab27aを過剰発現したCOS7細胞を用いて免疫沈降実験を行った結果、coronin3はGDP型Rab27aと特異的に結合した。Rab27aなどの低分子量Gタンパク質は、GTP型にエフェクター分子が結合し下流にシグナルを伝える。それとは逆に、この結果はGDP型依存性のエフェクターを介した新たなシグナル伝達経路の存在を示唆している。精製タンパク質を用いた結合実験より、GDP型Rab27aはcoronin3のβ-propeller構造と直接結合した。Coronin3のβ-propeller領域を培養膵B細胞MIN6に過剰発現し、内在性のcoronin3とRab27aの結合を妨げると、インスリン顆粒が細胞膜近傍に集積するとともにエンドサイトーシスマーカーであるFM4-64の取り込みが抑制された。GDP型Rab27aはcoronin3と結合することにより、エキソサイトーシスによって供給されたインスリン顆粒膜を細胞内に回収し、メンブレンリサイクリングを制御している可能性が示唆された。本年度の成果は、インスリン顆粒の動態調節を理解する上で極めて重要である。従って、本年度の研究計画はほぼ達成することができたと考えている。
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Research Products
(10 results)