2008 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞の自己管理システムと新規化合物による分化制御の分子機構の解明
Project/Area Number |
19790637
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
松本 征仁 Saitama Medical University, 医学部, 講師 (90321819)
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Keywords | 破骨細胞 / p38MAPキナーゼ / 転写因子 / 骨吸収 / NFATc1 / 活性酵素 / 5-S-GAD |
Research Abstract |
破骨細胞は骨吸収によるカルシウムなどのミネラル成分の動員を行い、合目的かつ系統的に骨合成とのバランスを厳密に調整することにより骨代謝の恒常性を維持している。しかし、病的な骨破壊の亢進による骨代謝維持機構の破錠の結果、高齢化に伴う医療費の増大で深刻化している骨粗鬆症などの骨代謝疾患を引き起こす。従って、新規薬剤または細胞内因子を介した破骨細胞制御の分子機序解明は、過剰な骨破壊を阻止するために骨代謝に関わる分子標的の同定による新たな骨代謝疾患の治療戦略を考慮する上で重要な課題である。研究代表者はこれまで骨吸収に必須の破骨細胞マーカーであるカテプシンK遺伝子の発現がp38MAPキナーゼによるNFATc1を介した多段階制御とその破骨細胞分化の特異性決定機構を明らかにした。 本研究では新規薬剤5-S-GADが活性酵素を誘導するNADPHファミリーであるNox1を標的として破骨細胞の分化を阻害するのみならず、選択的にNox1ファミリーを抑制し骨吸収を調節することを見出した。さらに代表者は転写因子Pax6の過剰発現によりTRAP遺伝子の発現ならびに破骨細胞分化が抑制されること、共同研究によりStat3結合因子PIAS3発現トランスジェニックマウスが大理石骨病を発症する原因としてPIAS3が転写因子MITFとして結合して転写活性能が阻害された結果c-fos、NFATc1の発現が抑制されることが明らかになった。以上の結果より、破骨細胞内因子であるPax6やPIAS3は過剰な骨破壊が起こらないよう自身の細胞を監視し破骨細胞の自己管理システムに寄与し正常な骨代謝の平衡状態を調節していることが強く示唆された。
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Research Products
(2 results)