2007 Fiscal Year Annual Research Report
肝発癌における高インスリン血症およびtuberinの細胞生物学的意義
Project/Area Number |
19790643
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
川口 巧 Kurume University, 医学部, 講師 (00320177)
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Keywords | 肝細胞癌 / 2型糖尿病 / tuberin / インスリン / mammalian target of rapamycin / insulin receptor substrate 1 / Akt / 結節性硬化症 |
Research Abstract |
近年、糖尿病をはじめとする代謝異常症と発癌の関連が注目されている。本邦における主要な悪性新生物である肝細胞癌も、高頻度に糖尿病を合併している。一方、結節性硬化症は全身の多発性腫瘍を特徴とする常染色体優性遺伝性の遺伝病であり、原因遺伝子としてTSC2遺伝子が同定れている。TSC2遺伝子は、198kDaの蛋白質tuberinをコードしているが、最近の研究結果よりtuberinが細胞増殖を制御するインスリン情報伝達経路の1分子であることが解明された。本年度、我々は肝癌細胞株を用い、インスリン刺激によるtuberinの発現量/活性と細胞増殖の関連について検討を行った。肝癌細胞株(HepG2,Huh-7,Hep3B)の培養上清にインスリン(0,10,100nM)を添加した後、細胞数の変化、インスリン情報伝達分子(insulin receptor substrate 1;IRS1,Akt,tuberin)のリン酸化をウエスタンブロッティングにて評価した。いずれの肝癌細胞株でもインスリン添加によdose dependentに細胞数の有意な増加が認められた。細胞内インスリンシグナルであるIRS1およびAktはインスリン添加にてリン酸化が亢進していた。同様にtuberinもリン酸化が亢進していた。リン酸化されたtuberinはmammalian target of rapamycin(mTOR)へのシグナル伝達を促すことらか癌の増殖に深く関わると考えられる。高インスリン血症を徴とする2型糖尿病の肝発癌への影響を検討する上でtuberinは重要な分子であると考えられる。
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