Research Abstract |
平成19年度は,RELMβが動脈硬化に関連するメカニズムの解明のため,動脈硬化の病態に関して重要な役割を果たす血管内皮細胞を中心に解析した。in vitro(細胞レベル)実験では,HUVEC(ヒト臍帯静脈血管内皮細胞)及びEOMA cell(マウス血管内皮由来細胞系列)を用いて,MTTアッセイ,BrdU取り込みアッセイ,scratch migration assay,membran invasion assayにより,RELMβ投与による細胞の増殖能,遊走能の亢進を見た。また細胞内シグナル伝達をウエスタンブロットなどの手法で解析しMAPK,PKCのリン酸化を認めた。ex vivo(単離血管)実験では,RELMβの投与により血管新生の亢進を認めた。in vivo実験では,カフ障害モデルで,RELMβ過剰発現マウスとその同胞マウスにおいて,カフ障害による内膜肥厚の程度が増加した。C57/B16マウスの一方の大腿動脈にRELMβ発現アデノウイルスを感染させ(他方には同MOIのLacZ発現アデノウイルスを感染させる),カフ障害モデルでも同様の影響を認めた。動脈硬化誘発食をRELMβ過剰発現マウスに与えた際の,マウスにおける動脈硬化巣や繊維化等血管障害の増加の有無は現在検討中である。染色にはさらに,CD31抗体,抗平滑筋抗体,抗マクロファージ抗体を用いた免疫染色により,血管の構成細胞の染め分け,マクロファージの浸潤に関しても解析中である。RELMβモノクロナル抗体を作成し,その検出について検討を進め,20年度以降も検討を重ねることとした。
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