2007 Fiscal Year Annual Research Report
脂質メディエーター スフィンゴシン1リン酸による脂肪細胞分化機構の研究
Project/Area Number |
19790650
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
橋本 剛 Kagawa University, 医学部, 助教 (80380153)
|
Keywords | スフィンゴシン1リン酸 / Sphingosine I-phosphate (SIP) / スフィンゴシンキナーゼ / Sphingosine Kinase (Sphk) / 脂肪細胞 / 脂肪組織 / 3T3-L1細胞 |
Research Abstract |
スフィンゴシン1リン酸(S1P)は、細胞内でスフィンゴシンキナーゼ(SphK)によって合成される脂質メディエーターの一つであり、血管内皮細胞・破骨細胞・骨格筋芽細胞の分化への関与が報告されている。申請者はadipogenesis(脂肪細胞の分化過程)において、S1PおよびSphKがどのような役割を担っているのかを検討した。マウス由来線維芽細胞株(3T3-L1細胞)に分化誘導剤であるインスリン、デキサメタゾン、IBMX(MIX刺激)を同時添加すると、脂肪細胞への分化過程において、2つのSphKアイソフォーム(SphK-1、SphK-2)の蛋白質の発現量がそれぞれ著明に増加する(ウエスタンブロット法、44倍、8倍)。MIX刺激によって発現上昇したSphKは、細胞内SIPをMIX刺激5日目において7倍へと増加させる(HPLC蛍光法)。SphKに対する薬理学的阻害剤であるDMSおよびDHSは、MIX刺激による脂肪細胞分化を抑制した。sphK-1に対する特異的なsiRNAをトランスフェクションしてsphK-1遺伝子のノックダウンを行った3T3-L1細胞では、コントロールsiRNAで見られたMIX刺激による脂肪細胞への分化および細胞内S1Pの生成が抑制された。次年度は、3T3-L1細胞における脂肪細胞の分化過程において、MIX刺激または分化誘導剤単独からSphK遺伝子誘導に至る細胞内シグナル伝達機構を定める。また、ウシ大動脈由来培養血管内皮細胞(BAEC)と3T3-L1細胞との共培養系を作成し、脂肪細胞から生ずるSIPの血管内皮細胞への役割について検討する。
|
Research Products
(1 results)