2008 Fiscal Year Annual Research Report
BRAF遺伝子周囲の遺伝子多型を指標とした腫瘍クローナリティと予後との関連性
Project/Area Number |
19790651
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
ROGOUNOVITCH Tatiana Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30423643)
|
Keywords | BRAF / 甲状腺癌 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
BRAF変異を持った甲状腺癌細胞株(ARO、KTC-1)と甲状腺癌や正常甲状腺組織からの初代培養細胞を用い、single cell sordngからのRT-PCRを施行した。甲状腺組織は、あらかじめBRAF変異の有無と遺伝子多型を確認した。また、甲状腺組織中に存在する甲状腺濾胞細胞以外の細胞(間質細胞やC細胞)は、TSHレセプターやKRT7に対するRT-PCRを行う事によって判別した。 KTC-1細胞はBRAF遺伝子のエクソン16にAl930G多型を持ち、アレル間の判別が可能であった。異なった7パターンの発現様式が見られ、それには野生型BRAF、変異BRAF共に片アレルのみの発現と両アレルからの発現が含まれていた。次に、甲状腺乳頭癌とバセドウ病甲状腺組織からの初代培養細胞について検討した。検討した甲状腺乳頭癌組織では、エクソン16に遺伝子多型が見られずアレル間の発現が比較出来なかった。しかしながら、野生型BRAFのみの発現、変異BRAFのみの発現、そして両方のBRAFの発現と3パターンが観察された。変異BRAFを持つ乳頭癌では、常に変異BRAFの発現が優勢であった。 以上の結果より、正常甲状腺細胞と甲状腺癌細胞の両方において、BRAFの片アレルからのみの発現、もしくは両アレルからの発現が観察された事となる。変異BRAFを持つ癌組織を一つ一つの細胞レベルで検討すると、変異BRAFのみしか発現していない細胞が見られた。また、野生型、変異型の両アレルを発現している細胞でも、変異型BRAFが常に優勢であった。この事は、変異は始め片方のアレルに起こるが、何らかの遺伝子転移の様なメカニズムにより別のアレルにも変異が拡がる可能性が推察された。このメカニズムが癌の多様性をもたらしている可能性が考えられた。
|