2008 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子GATA-2による間葉系幹細胞から骨髄脂肪細胞への分化制御
Project/Area Number |
19790657
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 譲司 Tohoku University, 病院, 助教 (10400376)
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Keywords | GATA-2 / 間葉系幹細胞 / 骨髄微小環境 / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
転写因子GATA-2は、造血幹細胞(Hematopoietic stem cells : HSC)の維持、増殖に必須の転写因子と考えられている。一方、正常造血の維持には、造血細胞だけでなく、その支持細胞からなる造血微小環境が必須である。造血微小環境は、骨芽細胞や血管内皮細胞、脂肪細胞などのストローマ細胞で構成されるが、それらは共通の前駆細胞である間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells : MSC)が分化して形成される。GATA-2は、造血幹細胞だけでなく、多くの細胞系列における前駆細胞、幹細胞に発現し、その未分化能の維持に重要な転写因子であることが報告されていることから、骨髄におけるMSCから成熟細胞への分化にも機能している可能性が考えられる。前年度、我々はすでにマウス骨髄脂肪前駆細胞株(TBR343)を用いた解析で、GATA-2の発現抑制により、脂肪細胞への分化が促進され、一方で、GATA-2の発現亢進により、分化が抑制されることを見出しており、これらの所見はGATA-2が骨髄間葉系細胞において未分化性の維持に機能していることを示唆する所見と考えている。そこで、本年度はヒトMSCにおけるGATA-2の機能を解析することにした。そのためにまず、ヒト骨髄からprimary cultureによりMSCを増幅する系を確立し、得られたMSCが多能性を有することをinvitroで確認した。現在、ヒトGATA-2発現ベクター、SiRNAを構築し、得られたMSCに導入することでヒトMSCの分化におけるGATA-2の機能を解析中である。
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