2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞性免疫誘導によるATL発症予防キメラ粒子ワクチン免疫療法と腫瘍免疫への応用
Project/Area Number |
19790671
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
小迫 知弘 Fukuoka University, 薬学部, 助教 (40398300)
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Keywords | HTLV-1 / ATL / CTL / ワクチン / HLA / 腫瘍免疫 |
Research Abstract |
成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルス(HTLV-1)に特異的なCTLの誘導を抗腫瘍免疫療法のモデルとして、ATL発症予防ワクチン候補のHTLV-1特異的cTLの誘導能をin vivo及びin vivoにおいて解析した。Hepatitis B core(HBc)粒子にHLA-A*0201が認識するHTLV-1 Taxエピトープを挿入したHTLV-1/HBcキメラ粒子を作製した後、HLA-A*0201改変トランスジェニックマウスに本キメラ粒子を免疫し、その免疫原性を検討した。2回の免疫後、鼠径リンパ節を摘出し5日間ペプチド刺激後、CTLの誘導を評価した。ELISPOT法で本粒子免疫群において特異的なIFN-γ反応がみられ、HTLV-1/HBcキメラ粒子の特異的CTL反応誘導が確認できた。またin vivoにおいて骨髄樹状細胞と本粒子を共培養した結果、CD86、HLA-A*02、MHCクラス2、TLR4分子の発現が有意に増加した。これらの結果より、粒子のヘルパー活性によりアジュバント無しで樹状細胞の成熟化が促進し効率的CTL誘導能を有する可能性が示唆された。また、1μMのTaxペプチドをマンノース被覆リボソームに封入した製剤をPBMCと混合培養し、14日後にHTLV-1テトラマーでETLV-1特異的CTLの誘導効率を検討した。リポソームワクチン処理によりHTLW特異的CTLが10-1000倍に増加した。以上の結果より、HTLV-1/HBcキメラ粒子及びマンノース被覆リボソームがin vivo及びin vivoにおいて、アジュバント無しで効率的にHTLV-1特異的CTLを誘導する可能性が示唆された。本研究により、免疫細胞療法によるHTLV-1特異的CTLの誘導を目的とするATL発症予防・治療のための免疫療法の臨床応用への基盤が確立できた。
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