2007 Fiscal Year Annual Research Report
マウス骨髄移植モデルにおける間葉系幹細胞のGVHD制御効果の検討
Project/Area Number |
19790675
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 一也 Jichi Medical University, 医学部, 病院助教 (60382917)
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Keywords | 間葉系幹細胞 / GVHD |
Research Abstract |
一定の重症度のGVHDを再現性よく発症させるマウス骨髄移植モテルを確立した。GVHD発症後に間葉系幹細胞(MSC)を投与し、その治療効果を検討した。研究実施計画に従い、細胞数、投与回数、及び投与のタイミングなどを比較したが、in vivoでの明らかなGVHD治療効果は確認できなかった。バイオイメージングでMSCの体内動態を追跡するなどの工夫を行うも検証は困難であった。MSCは恒常的に免疫抑制効果を示すわけではなく、何らかのサイトカインによってはじめて誘導されることが知られている。そこでMSCのGVHD制御効果を効率よく誘導、また制御するメカニズムを明らかにすべく、基礎的検討を行った。これまでの知見をもとに、MSCに発現する接着因子であるCD44、及びそのリガンドであるヒアルロン酸との相互関係に着目した。はじめにMSCがヒアルロン酸合成酵素のひとつであるHAS-2を発現しており、恒常的にヒアルロン酸を産生していることを明らかにした。一方でT細胞は活性化するとヒアルロニダーゼ活性を示すことが報告されているが、活性化T細胞にはヒアルロン酸分解酵素であるHya1-2の発現が誘導されることをRT-PCR法で確認した。ヒアルロン酸の分子量別で比較すると、低分子ヒアルロン酸は単独でMSCから免疫抑制因子であるPGE2の産生を.またIFN-γとの組み合わせでNOの産生が誘導されたが、高分子ヒアルロン酸ではいずれの免疫抑制因子の産生も認められなかった。更にMSCの細胞内シグナルのインヒビターを用いた実験では、ヒアルロン酸によるPGE2、NOの産生機序はそれぞれ異なるシグナル伝達,(MAPK,PI3K/AKT)によって制御されていることが示唆された。ヒトではMSCによる高いGVHD抑制効果が報告されており、本研究でMSCの免疫抑制のメカニズムを明らかにすることで、より高い安全性と治療効果の向上が期待できる。
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Research Products
(5 results)