2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790676
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
仁田 英里子 Keio University, 医学部, 助教 (80401123)
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Keywords | 老化 / ストレス / 幹細胞 / ATM / TERT / がん / 白血病 |
Research Abstract |
ATM・TERT両分子の協調によるストレス応答と老化制御に果たす機構を解明する為、ATM・TERTダブルノックアウトマウスを作成した。まず個体レベルで二重のストレス防御因子欠損の影響を観察したところ、TERTは単独ノックアウトでは寿命に影響しないが、ATM・TERTダブルノックアウトマウスではATM単独ノックアウトに比し寿命が短縮した。また各遺伝子型をドナーにした造血幹細胞移植を行ったところTERT単独では一次移植に於いては野生型と差が見られないがATM・TERTダブルノックアウトではATMノックアウトよりも再構築能が低下しており、この結果よりATM・TERTは両分子の協調した分子制御機構により個体および造血幹細胞の老化やストレス応答に対して影響することを示唆した。 次に細胞レベルでの老化機構を明らかにする為、造血幹細胞の細胞学的解析を行った。生体内の細胞の老化は生理的な老化とストレス状況下に誘導される老化が混在していると言われるが、造血幹細胞では生理的な老化に伴って分化方向の変化によりリンパ球の減少と顆粒球の増加を生じmyeloid shiftと呼ばれるのに対し、ストレス状況下に誘導される老化はDNAダメージの蓄積に司られγH2AX fbciの蓄積により観察される。ATMおよびTERT単独ノックアウトマウスでは何れもmyeloid shiftとγH2AX fbci蓄積の両方を認め、更にATM・TERTダブルノックアウトマウスではmyeloidshift、γH2AX fbci蓄積のいずれもが相加的に増強することを明らかにした。この結果よりATMとTERTは何れも造血幹細胞に於ける生理的な老化とストレス状況下に誘導される老化の両方の制御に関わり、またダブルノックアウトではATM・TERTによる細胞レベルの老化制御は独立した機構で老化が相加的に増強する可能性を示唆した。
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