2007 Fiscal Year Annual Research Report
染色体1q21領域の増幅を認める多発性骨髄腫の臨床病態および分子病態の解析
Project/Area Number |
19790677
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
花村 一朗 Aichi Medical University, 医学部, 講師 (70440740)
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Keywords | 癌 / 多発性骨髄腫 / 1q21 / 染色体転座 / FISH / 1番染色体 / NIK / NF-κB |
Research Abstract |
20種類のヒト多発性骨髄腫(multiple myeloma; MM)細胞株のカルノア標本を作製し染色体1q21領域の転座様式について検討した。1q21領域は19細胞株で3コピー以上であった。検討したMM細胞株の分裂期核標本では、1q21領域の増幅は約半数以上でtandem duplicationまたはjumping translocationの形式であった。現在、MM細胞株を用いて1q21領域の増幅形式と、del13やIgH splitの有無との相関や、1q21領域増幅と相関性の高い染色体欠失領域の同定を試みている。またcytoplasmic Ig FISH法(MM細胞の細胞質Igをdouble-color FISHと同時に行い観察する手法)の確立をMM細胞株を用いて行った。今後は施設IRBで承認された臨床検体を用いて行う予定である。これらの研究成果は、極めて予後不良である染色体1q21領域の増幅を認めるMMの分子病態および臨床病態の解析にむけて必要なことであり重要なものである。平成20年度は平成19年度に行ったこれらの研究を推し進めると同時に、1q21増幅に関連性の高い特定遺伝子の同定やその機能解析を行う予定である。 その他、一部のMM株および患者検体においてNF-κBの上流遺伝子であるNIK遺伝子がIg領域との転座により高発現しMM細胞におけるNF-κB pathwayの恒常的活性化を引き起こしていることを報告した(Cancer Cell 2007)。また1q21領域のコピー数の増加を認めるMM患者は、主に1番染色体の短腕に座位する遺伝子の発現低下と長腕遺伝子の発現増加を伴っていること、またこのような1番染色体上の遺伝子発現パターンの変化を認めるMM患者群は予後不良群を形成することを報告した(Blood 2007)。
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Research Products
(12 results)