2008 Fiscal Year Annual Research Report
ケモカインeotaxin-3/CCL26の新規受容体同定と機能解析
Project/Area Number |
19790698
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
中山 隆志 Kinki University, 医学部, 講師 (60319663)
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Keywords | ケモカイン / GPCR / 細胞遊走 / アレルギー / 免疫学 |
Research Abstract |
eotaxin-3/CCL26は、好酸球に高発現するCCR3のリガンドとして我々のグループが同定したCCケモカインである。CCL26は、IL-4刺激した血管内皮細胞で選択的に誘導される最もドミナントなCCR3リガンドであり、アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー性疾患において、炎症局所への好酸球浸潤に重要な役割を果たすことが示唆されている。 本研究において研究代表者は、CCL26が細胞傷害性リンパ球に高発現するCX3CL1受容体/CX3CR1の機能的リガンドであることを見出した。CCL26は、CCR3安定発現細胞と同様にCX3CR1安定発現細胞、およびCX3CR1陽性のヒト細胞傷害性リンパ球の細胞遊走反応を誘導した。さらに、CCL26はヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)のIL-4刺激により大量に産生され、CX3CR1発現細胞のHUVECへの接着反応を促進した。また、この接着反応は抗CCL26抗体により優位に抑制された。つぎにアレルギー性疾患におけるCCL26とCX3CR1の役割を明らかにするために、アトピー性皮膚炎患者の臨床検体を用いてCCL26、CX3CL1およびCX3CR1のreal-time PCR解析を行った。その結果、CX3CL1の発現は、正常人と比べて一部のアトピー性皮膚炎患者の皮膚組織においてのみ増強されていたが、CCL26とCX3CR1の発現は全てのアトピー性皮膚炎患者の皮膚組織において増強されていることが明らかとなった。これらの結果より、アレルギー炎症の場において炎症血管で産生されたCCL26は、好酸球だけでなく細胞傷害性リンパ球も同時に誘導することによりアレルギー性疾患の病態形成においてこれまで理解されていた以上の役割を果たすことが示唆された。
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