2009 Fiscal Year Annual Research Report
ループス腎炎におけるPD-1/PD-L共刺激分子の関与
Project/Area Number |
19790701
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Research Institution | 財団法人田附興風会 |
Principal Investigator |
籏智 さおり Tazuke Kofukai Medical Research Institute, 医学研究所 第4研究部, 研究員 (70414117)
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Keywords | 膠原病学 / ループス腎炎 / PD-1 / PD-L1 |
Research Abstract |
PD-1/PD-LはT細胞活性化の制御に関与する抑制性共刺激分子でCD28/B7ファミリーに属する。それゆえ、免疫バランスの維持に重要な働きを持ち、自己免疫疾患の病態に大きく関与している。 本研究では全身性自己免疫疾患患者の腎病変におけるPD-1/PD-L1の関与を検証することを目的として、当施設にて診断・治療方針決定目的に行われた腎生検組織検体を用いて免疫染色で同分子の発現を検討した。全身性エリテマトーデス7例、シェーグレン症候群2例、全身性エリテマトーデス+シェーグレン症候群2例、関節リウマチ1例、顕微鏡的多発血管炎1例で検討を行い、13例中5例に同分子の発現を認めた。原疾患やループス腎炎のサブクラスに関わらず、間質浸潤炎症細胞および尿細管上皮にPD-1/PD-L1の発現を認め、糸球体や血管には発現を認めなかった。特に、間質性腎炎ではPD-1/PD-L1ともに間質浸潤炎症細胞に発現する傾向がみられた。ループス腎炎では必ずしもPD-1/PD-L1の発現は認めなかった。また、モデルマウスとは異なり、糸球体内皮細胞におけるPD-L1の発現は確認できなかったが、生検時にステロイドや免疫抑制剤の投与下であるので病態が修飾されている可能性があった。 以上より原疾患に関わらず腎での免疫応答にPD-1/PD-L1分子が関与している可能性が示唆された。ループス腎炎モデルマウスであるNZB/WF1マウスの腎組織ではPD-1/PD-Lが発現し、抗体投与による治療効果も確認されていることより、ヒトへの治療応用が期待される。
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