2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790717
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山中 康成 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (90402859)
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Keywords | 遺伝子 / 再生医学 / 神経科学 / 脳・神経 / 発生・分化 |
Research Abstract |
これまでにノックアウトマウスの表現型解析は、主に当該遺伝子の発現部位に着目して新生仔期の嗅脳組織を調べてきたが、ノックアウトマウス成体の行動解析を行ったところ、組織学的結果から予想される行動異常とは異なり、Light and dark transition testおよびnovel ty-induced hypophasia testの両方で、ノックアウトマウスは野生型マウスよりも有意に強い不安様行動を認めた。つまり、うつ病という極めて頻度の高い疾患のモデル動物となりうることが明らかとなり、本研究は広く展開しはじめた。実際に、近年では神経幹細胞は、神経疾患だけでなく精神疾患の病態にも深く関わることが注目されている。そこで成体において本遺伝子の発現部位を詳細に調べたところ、本遺伝子は成体の前頭前野の眼窩面皮質(orbital cortex)のみに発現し、幼弱な神経細胞マーカーであるNeuNおよびDCXが陽性で、他のアストロサイトやオリゴデンドロサイトのマーカーであるGFAPと04が陰性であった。つまり本遺伝子は、胎生期だけでなく成体においても神経新生を制御している可能性が示唆された。一方、うつ病の病態に関わるとされてきた海馬には、本遺伝子の発現を認めなかった。これらの結果は、本研究の対象である新規遺伝子が、前頭葉の神経新生に影響を及ぼし、うつ様行動に関わるという全く新しい病態解明につながっていくことを意味している。
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Research Products
(2 results)