2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790717
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山中 康成 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (90402859)
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Keywords | 遺伝子 / 再生医学 / 神経科学 / 脳・神経 / 発生・分化 |
Research Abstract |
cDNA microarrayを用いた発現解析を用いて、神経幹・前駆細胞が豊富に存在する大脳側脳室の周囲に高発現する遺伝子群を同定した。114個の既知遺伝子と58個の機能未知の新規遺伝子が得られ、次いで、新規遺伝子58個を対象にin situ hybridizationとNorthern解析を行い、発現する臓器と時期を解析した結果、目的に合致する遺伝子群(FGF-BP3, Borealin, Cenpm, Ttyh1)を単離した。それぞれの遺伝子をLacZ遺伝子で置換(Knock-In)した遺伝子改変マウスを作製した。このうちBorealin, Cenpm,Ttyh1の欠損マウスは神経系が発生する前の段階で致死となった。その後、FGF-BP3遺伝子改変マウス(FGF-BP3 KI-LacZ)は、C57BL/6Jへ戻し交配を10回行い、遺伝的背景を均一にした。FGF-BP3は高感度の染色法で解析したところ、成体脳でも眼窩前頭皮質にのみ特異的に発現することが明らかとなった。FGF-BP3欠損マウスに14種類の行動実験を行った結果、Light/Dark transition testで、FGF-BP3欠損マウスは明所での滞在時間の短縮を認め(p<0.05)、FGF-BP3欠損マウスは不安様行動を示すことが明らかとなった。さらに、Novelty-induced hypophasia testを行った結果、FGF-BP3欠損マウスは見慣れない餌に近づく時間の延長を認め(p<0.01)、FGF-BP3欠損マウスが不安様行動を示すことを再現した。さらに明所刺激下での眼窩前頭皮質の活動を知る目的で、初期誘導遺伝子であるc-fosが陽性となる細胞数を調べたところ、野生型に比べて変異型マウスでは数の減少を認め(P<0.05)、変異型マウスの不安様行動は眼窩前頭皮質の機能低下によるものであることを見出した。これらは眼窩前頭皮質が不安という情動を制御していることを示唆した。
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