2008 Fiscal Year Annual Research Report
最新の遺伝子解析技術を駆使した尿細管輸送体異常症の網羅的遺伝子異常の解明
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19790720
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
野津 寛大 Kobe University, 医学部・附属病院, 助教 (70362796)
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Keywords | Bartter症候群 / Gitelman症候群 / 尿中落下細胞 / チャネル・トランスポーター |
Research Abstract |
先天性尿細管輸送体異常症でも頻度の高い、Bartter症候群、Gitelman症候群につき研究を行った。Bartter症候群(BS)、Gltelaman症候群(GS)は常染色体劣性遺伝性尿細管機能異常症で、低カリウム血症, 代謝性アルカローシス、高レニン、高アルドステロン血症を認めるにも関わらず正常血圧を示すことなどを特徴とする。現在までに1型からV型BSおよびGSの責任遺伝子が明らかとされている。 日本人におけるこれらの疾患を有する患者において、臨床的および遺伝学的検討はこれまで行われてこなかったが、私たちは今回の研究で、BSでは1型12名、II型3名、III型21名、IV型1名、GSでは30名の患者において、その遺伝子異常を明らかとしている。また、解析方法に関する工夫を行い、尿中落下細胞からmRNAを抽出し、RT-PCRを用いて解析を行うという非侵襲的かつ斬新な方法を導入することで、遺伝子診断率を向上させることに成功し、各疾患におけるmRNAレベルでの異常の検出にも多数成功している。さらに、これまでこれらの疾患で遺伝子診断率が低かった原因として、従来の直接シークエンス法による解析では広範囲のヘテロ接合体欠失の検出はできず、BS患者においてはこの変異が多いためであることを明らかにした。そこで、PCR半定量法やMLPA法を導入することで、それらの変異の検出に成功した。現在まで私たちは90%以上の患者において遺伝子変異の検出に成功している。更なる症例の蓄積を行い、日本人におけるこれらの疾患の患者の特徴を明らかとしていく予定である。
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