2007 Fiscal Year Annual Research Report
近交係数を指標とする小児遺伝性腎疾患の新しいマッピングの試み
Project/Area Number |
19790725
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
北村 明子 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 非常勤講師 (10448318)
|
Keywords | 多因子遺伝性腎疾患 / 自己接合体マッピング |
Research Abstract |
[目的]単純なメンデル遺伝様式を呈さない多因子遺伝性腎疾患の多くは、罹患頻度が高く病態解明が望まれているが、解析方法が確立されておらず原因不明のままである。本研究は、多因子遺伝性腎疾患のなかでも劣性遺伝様式で発症する遺伝要因の濃厚な家族症例を対象に、近交係数を指標に広義の血族家系を想定して自己接合体マツピングを適用し、同祖由来の遺伝要因をできうるかぎり明瞭化することを目的とする。対象疾患は小児期ネフローゼの9割を占めるスロイド反応性ネフローゼ(SSN)とする。SSN は、免疫異常や腎固有の要素など、いくつかの遺伝要因(疾患感受性遺伝子)と環境要因が関与する多因子疾患と推測されており、発症の分子機構は未だ解明されていない。[意義]従来の病因論からのアプローチでは予測出来なかった SSN 発症の機序について新知見をもたらせるとともに、今まで解析困難であっだ多因子疾患に対する新たな遺伝学的アプローチ法を確立する基盤となる可能性があり本研究は意義がある。[研究計画]本年度は、次の診断基準を満たす家族性 SSN の調査及び検体収集を行った。1)3ヶ月〜15歳で発症,2)ステロイド反応性,3)腎組織は微小変化群,4)劣性遺伝様式[結果]14家系28患児の調査を行った。見症年齢は1-15歳(平均4.3歳)であった。罹患同胞間での再発頻度は必ずしも一致しなかった。最終再発年齢は5-24歳(平均10.8歳)であった。腎生検例8名はすべて微小変化群であった。これらの臨床像は弧見性 SSN と差がなかった。[考察]日本の家族性SSN14家系は、欧州で集積された家族性SSNと類似した臨床像を呈していた。家系内で発症感受性が劣性の遺伝因子で規定されている可能性があり、マツピング対象として適していると考えられた。今後、既報の候補遺伝子座(2p12-13.2)への連鎖を検討する予定である。既報の遺伝子座に連鎖がない場合、全ゲノムSNPタイピングを行い、近交係数を指標に自己接合体マッピングを試みる。
|