2007 Fiscal Year Annual Research Report
光時間分解分光法による新生児脳の光学的特性と脳内酸素飽和度、血液量の発達的変化
Project/Area Number |
19790726
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
伊地知 園子 Kagawa University, 医学部附属病院, 医員 (70437680)
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Keywords | 新生児 / 近赤外光 / 時間分解分光装置 / 散乱係数 / 光路長 / 脳内ヘモグロビン酸素飽和度 / 脳血液量 / 早産児 |
Research Abstract |
新生児・未熟児の低酸素性虚血性脳症、頭蓋内出血、脳室周囲白質軟化症などの中枢神経系後障害をきたす疾患などにおいて、脳内酸素化伏態や血流分布障害などの病態の解明、その予防、治療法の確立のために非侵襲的な脳機能・脳循環測定法の開発が必要である。我々はこれまで近赤外時間分解分光装置nearinfrared time-resolved spectroscopy(TRS)を用いて、生後の脳血液量(CBV)、脳組織Hb,酸素飽和度(ScO_2)を測定し、在胎30週以上の児における生後早期の発達変化を報告してきた(PedjatrRes58:568・573,2005)。今回、在胎30週以下の児における生後のCBV、ScO_2 および光拡散係数(μs')について検討した。 対象は生後20±12時間の在胎30週以下の児11人(測定時平均修正週数)(cGA)27.5±1.8週)。測定に際し両親からの書面による承諾を得た。 方法:TRS-10(浜松フォトニクス社製)を用いて前額部で測定を行い、光吸收係数とμs'を算出した、3波長の光吸収係数より、脳内酸素化Hb,脱酸素化Hb,総Hb濃度を計測し、安定した5分以上の平均値を算出した。CBVは脳内総Hb濃度、血中Hb濃度より、ScO_2は酸素化Hbと総Hb濃度の比より計算した。 その結果CBV(平均±SD)2.46±0.43ml/100g、S(D272.9±6.5%、μs'(760,800,860nm)はそれぞれ517±1.09,4.83±1.14,498±0.92/cmであった。cGAとCBVとの間には負の相関(=-0.770,p=0.006)を認めた。cGAとScC_2、μs'は相関を認めなかった。 考察として、在胎30週以上の児においてはCBVとcGAは正の相関を示したのに対し在胎30週以下の児では有意な負の相関を認めた。CBVの値は血中Hb濃度の影響を受ける他、仮死後の再還流の影響、脳血管や神経細胞層の発達影響を受けると考えられた。今回の脳の発達的変化を捉えている可能性もある。今後症例を増やし検討する必要があると思われる。
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Research Products
(3 results)