2008 Fiscal Year Annual Research Report
GM2ガングリオシドーシスにおける自己抗体を介した炎症反応機構解明と治療法の開発
Project/Area Number |
19790734
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
山口 章 Yokohama City University, 医学研究科, 客員研究員 (20381585)
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Keywords | ライソゾーム / 自己抗体 / 炎症反応 / サンドホフ / ガングリオシド |
Research Abstract |
前年度までの研究によりサンドホフ病モデルマウス(SDマウス)においても自己抗体を介する炎症反応(炎症関連遺伝子CXCL-13, TNF-a, MIP-1aの増加等)が確認された。現在、さまざまな炎症を伴う自己免疫性神経疾患(多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症等)に対してステロイド治療が行われている。そこで、SDマウスにステロイドを投与することで炎症反応が減少するかどうかおよび病態が改善するかどうかを解析した。投与方法は、プレドニゾロン10mg/kgを3日間連続して投与することを1クールとするステロイドパルス療法で、炎症サイトカインの発現が顕著に上昇する前の12週齢より開始し、15週齢まで毎週行った。 神経症状をロタロッドテストにより毎週解析した結果、13週齢において改善が見られたが、14週齢以降はステロイド投与群、生理食塩水投与コントロール群ともにロッド上の歩行が不能となった。SDマウスの末期である15週齢の段階で脳を組織学的に解析した結果、腫大化したマクロファージの減少傾向が見られた。SDにおいて腫大化したマクロファージは炎症性サイトカインを産生すると考えられていることから、炎症性サイトカインの発現が抑制されているかどうかを検討したが、SDの炎症反応マーカーであるTNF-a, CXCL13, MIP-1aの発現に有意差はなかった。 今回のステロイド投与実験における症状の改善度は、抗原抗体反応に関与するFcRg遺伝子をノックアウトしたSDマウス(FcDKOマウス)の改善度よりも低かった。今後、投与量、回数などのさらなる至適化が必要だと考えられた。
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