2008 Fiscal Year Annual Research Report
人工胎盤を開発するためのヒツジ胎仔を用いた基礎的検討
Project/Area Number |
19790755
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 雄一郎 Tohoku University, 病院, 特任助手 (20419229)
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Keywords | 人工胎盤 / 胎児循環 / 人工羊水 / 膜型人工肺 |
Research Abstract |
平成19年度は人工胎盤に十分な血流量を得るため, 膜面積が小さく血流抵抗の少ない膜型肺(膜面積0.050m^2, 0,075m^2)を泉工医科機器株式会社と開発した.これを用いたヒツジ胎仔の慢性実験では, 駆動ポンプを用いず心ポンプのみで, 生理的胎盤血流量(>100ml/kg/min)と同程度の血流量が得られた. しかし, この膜型肺では酸素化能が弱いため貧血性低酸素に耐えられず, 高乳酸血症が遷延したため胎仔を12時間以上生存させることが出来なかった(n=6). 本年度はこれを踏まえて, 十分に酸素化と換気が得られ, かつ血流抵抗の少ない膜型肺を東京電機大学電子情報工学講座の協力を得て新規に開発した(膜面積0.200m^2, 0.300m^2). これを並列回路で使用し, 胎仔のHt値を20〜30%に設定, 平均動脈圧を50mmHgに保つことによって, 人工胎盤に100ml/kg/minの血流量が得られ, 胎仔の動脈血酸素飽和度を子宮内と同じ50〜60%に保つことが出来た. しかし, 種々の循環作動薬(dopalnine, hANP, lipoPGEなど)を投与しても高乳酸血症の進行(100〜200mg/dl)を抑えることができずアシドーシスが進行したため, この人工胎盤を装着してもヒツジ胎仔を12時間以上生存させることは出来なかった(n=6). 一方, 本年度最後の実験では試行的に, 中心静脈圧を感知して循環血液量を自動的に補正するリザーバ回路を人工胎盤回路に装着して, 胎仔を39℃の人工羊水槽に浮遊させたところ, 一過性に高乳酸血症の改善が観察された. したがって, 高乳酸血症の進行には体温, 循環血液量, および不感蒸泄の管理が重要である可能性が示唆された. 来年度の実験(n=6)では上記のリザーバ回路と人工羊水槽の至適条件を検討することによって人工子宮を完成させたいと考えている.
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