2007 Fiscal Year Annual Research Report
新生児慢性肺疾患の発症における新規好中球遊走因子に関する研究
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19790757
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森岡 一朗 Kobe University, 医学部・附属病院, 助教 (80437467)
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Keywords | 新生児・未熟児 / 好中球性炎症 / 血清 / 気管肺胞洗淨液 / N-acetyl Proline-Glycine-Proline(acPGP) / Liquid chromatography coupled tandem mass spectrometry (LC-MS / MS) |
Research Abstract |
近年、未熟児を含め種々の新生児疾患の急性期に好中球性炎症の関与が注目されている。そこで、N-acetyl Proline-Glycine-Proline(acPGP)という3つのアミノ酸より構成される蛋白質が、新たな好中球遊走因子であることに着目し、研究を進めた。神戸薬科大学と共同で、微量試料から標的物質を高選択率で高感度に測定でぎるLiquidchromatography coupled tandem mass spectrometry(LC-MS/MS)という最新分析機器を用いて、成人や新生児・未熟児の血清や気管肺胞洗浄液からの同定に世界で初めて試みた。 1.acPGPの定量測定系の確立 従来のLC-MS/MS測定技術に、濃縮法を応用することにより、血清あるいは気管洗浄液100μ1の微量試料でacPGPの測定系の確立に成功した。検出感度値は、1pg/mlという極めて高感度なものである。この微量試料がらの高感度な測定の確立は世界でも報告がなく、今後の様々な物質の測定に応用できる可能性がある。 2.血清・気管洗浄液中のacPGP定量 健常成人血清中のacPGP濃度な、5.4±2.7pg/ml(n=12)で、極めて微量ではあるが、血清中に存在することを世界で初めて証明した。一方、新生児の血清acPGP濃度は、17.7±17.5pg/ml(n=58)で、成人値と比較して約3倍量が存在することを証明した(p<0.45)。興味深いことに、血清中acPGA濃度は出生体重の小さい未熟児で高値であることを明らかにした。また、未熟児の気管洗浄液中も18.5±7.5pg/ml(n=2)のacPGPを同定しえた。 それゆえ、未熟児の慢性肺疾患を代表とする種々の新生児合併症の病態に、このacPGPによる好中球誘導が関与している可能性が示された。
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Research Products
(2 results)