2008 Fiscal Year Annual Research Report
新生児慢性肺疾患の発症における新規好中球遊走因子に関する研究
Project/Area Number |
19790757
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森岡 一朗 Kobe University, 医学部・附属病院, 助教 (80437467)
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Keywords | 新生児・未熟児 / 好中球性炎症 / 血清 / 慢性肺疾患 / N-acetyl Proline-Glycine-Proline (acPGP) / Liquid chromatography coupled tandem mass spectrometry(LC-MS / MS) |
Research Abstract |
近年、未熟児を含め種々の新生児疾患の急性期に好中球性炎症の関与が注目されている。そこで、N-acetyl Proline-Glycine-Proline(acPGP)という3つのアミノ酸より構成される蛋白質が、新たな好中球遊走因子であることに着目し、研究を進めた。昨年度に神戸薬科大学と共同で、Liquid chromatography coupled tandem mass spectrometry(LC-MS/MS)を用いたacPGPの測定系の確立に成功した。平成20年度は成人や新生児・未熟児の血清から世界で初めてacPGPの同定に成功し、論文にて報告した。 1. 健常成人および新生児の血清中acPGP濃度 ヒト血清において、単一のピークが人工合成acPGPと同じ保持時間で検出され、ヒト血清中にacPGPが存在していることを証明できた。血清中acPGP濃度は、健常成人および新生児でそれぞれ、6.3±2.7pg/ml(n=22)、18.7±14.9pg/ml(n=72)であった。新生児の血清中acPGP濃度は、健常成人よりも有意に高値であった(p<0.00001)。 2. 新生児の出生体重別の血清中acPGP濃度 新生児の出生体重別の血清中acPGP濃度は、1,000g未満、1,001〜2,500g、2,500g以上で、各々35.5±16.7pg/ml(n=21)、13.7±6.0pg/ml (n=29)、9.3±5.5pg/ml(n=22)であった。出生体重が小さい児ほど血清中acPGP濃度は有意に高値となる結果であった(p<0.000001)。 血清中acPGP濃度が高値を示したすべての1,000g未満の新生児は子宮内炎症である絨毛膜羊膜炎を有しており、慢性肺疾患を発症した。それゆえ、臍帯血や生後早期の新生児血液中のacPGPの増加が、絨毛膜羊膜炎や早産児の慢性肺疾患のバイオマーカーとして使用できる可能性があることを論文にて報告した。
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