2008 Fiscal Year Annual Research Report
臍帯血CD34陽性細胞(血液幹細胞)を用いた肺II型上皮細胞の再生に関する基礎研究
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19790760
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
北東 功 Keio University, 医学部, 助教 (00296625)
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Keywords | 臍帯血幹細胞 / 慢性肺疾患 / 再生医療 / 線維芽細胞増殖因子 / 肝細胞増殖因子 |
Research Abstract |
目的 : 慢性肺疾患、早産児の養育を行う上で管理の困難な疾患の一つである。1)長期の人工呼吸管理2)羊膜絨毛膜炎などの炎症の肺への波及、が原因で肺胞構造が破綻する。肺II型上皮細胞は、肺胞領域に存在し、サーファクタントを産生する細胞であるとともに、自己増殖能・I型上皮細胞への分化能を有し、損傷を受けた肺を修復するときに重要である。臍帯血中のCD34陽性細胞は血液幹細胞の機能以外に、様々な臓器に分化可能であることが明らかになってきている。マウスの臍帯血移植の研究では、マウスの肺組織中に移植した幹細胞から肺II型上皮細胞が分化することが報告されている。今回、臍帯血幹細胞が慢性肺疾患の治療に利用可能であるかにっき、基礎的検討を行うため、正常新生児の臍帯血CD34陽性細胞がin vitroで肺II型肺上皮細胞に分化・増殖が可能であるか、を明らかにする。前年度のMatrigelを用いた検討では肺II型上皮細胞への分化は認められなかったため、今年度はフィルターメンブレンを用いて、気相一液相境界を作成し境界面での細胞培養を行い、II型上皮細胞への分化が認められるのかを検討するものである。方法 : CD34陽性細胞を24wellplateを使用、径12mのフィルターメンブレン上で5%CO2投与下、にて以下の培養液組成にて培養した。肺1型上皮細胞への分化は培養液中のサーファクタント関連蛋白一Aの有無で評価した。 培養液組成(1)BEGM(hydrocortisone無し) ; FGF70ng/ml、FGF75ng/ml、FGF710ng/ml、FGF720ng/ml、FGF750ng/ml(2) BEGM(hydrocortisone有り) ; FGF70ng/ml、FGF75ng/ml、FGF710ng/ml、FGF720ng/ml、FGF750ng/ml 結果 : 今回の検討でもすべての培養条件下で培養液中にSP-Aは検出されず、CD34陽性細胞の肺2型上皮細胞への分化を確認し得なかった。 考察 : 肺II型上皮細胞は気管支分岐の最終局面で出現する細胞であるため、分化誘導することが困難である可能性が高い。しかし、線維芽細胞との共培養でII型上皮細胞への分化が認められるとの報告が認められており、今後も培養条件を更に検討していく必要があると考えられた。
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Research Products
(4 results)