2007 Fiscal Year Annual Research Report
嚥下障害の発生学的発症機序の解明:CHARGE症候群をプロトタイプとして
Project/Area Number |
19790762
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
荒巻 道彦 Keio University, 医学部, 助教 (20338099)
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Keywords | 多発奇形症候群 / 発生・分化 |
Research Abstract |
新生児医療の急激な進歩により、未熟児・早期産児や多発奇形症候群の患者の生存率が著しく向上してきている。その一方で、脳神経障害を始めとする合併症の対策が急務となっている。特に、脳神経障害を合併する多発奇形症候群や早期産児の嚥下機能障害は生命予後に関わる因子として重要である。CHARGE症候群の主要な臨床症状のひとつに脳神経の異常がある。新生児期にCHARGE症候群と診断された全ての患者において、嚥下機能障害が認められている。申請者は、CHARGE症候群の原因遺伝子CHD7のニワトリ相同遺伝子(Chd7)を同定しており、ニワトリ胚とRNA干渉法を組み合わせた実験系を用いて嚥下機能とChd7遺伝子の関係を発生学的見地から解明しようと試みた。 RNA干渋によりChd7遺伝子発現を低下させると予測される塩基配裂を持つプラスミドベクターを、脳神経の形成に関わる神経堤細胞の出現領域にエレイクトロポレーション法を用いて遺伝子導入した。その結果、遺伝子導入されたニワトリ胚では、胚の奇形や成育不良が数多く確認された。それらの異常は、RNA干渉を起こさないプラスミドを遺伝子導入したコントロール郡でも同様に認められた。両群間で差を認めなかった原因として、エレクトロポリーションによる遺伝子導入法の条件検討が不十分であることが考えられた。また、RNA干渉を起こすプラスミドベクターの遺伝子発現抑制の評価も詳しく行う必要があると考えられた。今後、1)エレクトロポレーション法の条件検討を更に細かく行うこと、2)Chd7遺伝子の発現が既に確認されている眼原基、耳原基、脳原基からprimary cultureを作製し、それらを用いてRNA干渉による遺伝子発現の低下を詳細に評価することが重要となる。本研究課題で確立される実験系は、多発奇形症候群を始めとする様々な疾患の病態を解明する貴重な手段となり得る。
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