2007 Fiscal Year Annual Research Report
色素幹細胞におけるSpred-1の機能と組織幹細胞制御機構の共通分子基盤の解明
Project/Area Number |
19790775
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田所 優子 Kanazawa University, がん研究所, 助教 (00447343)
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Keywords | 再生 / 発生 / 分化 / 幹細胞 / 皮膚 / 色素 |
Research Abstract |
平成19年度は、血液細胞を用いた研究のまとめと色素細胞を用いる研究の準備を進めた。 血液細胞においてはSpred-1ノックダウン細胞の作製を行なった。野生型細胞とSpred-1ノックダウン細胞においてサイトカインに対する反応性の違いを検討したところ、Spred-1ノックダウン細胞において細胞骨格や細胞運動の制御に関わるRhoAの活性化が亢進していることが明らかとなった。またSpred-1ノックアウト(KO)造血幹細胞では、Stem Cell Factor(SCF)の刺激によって接着性が亢進した細胞形態に変化することを見出した。これらのデータは造血幹細胞のニッチの獲得・維持においてSCFの存在と幹細胞の形態の変化が重要な役割を果たしていることを示唆しており、今後の幹細胞とニッチの制御機構の解明において重要な知見を与えるものである。現在、論文投稿の準備中である。色素細胞の研究においては、所属機関の変更により新たにSpred-1KOマウスの準備を進めた。当年度、他グループによってSpred-1遺伝子に変異を持つ患者の皮膚にはカフェオレ斑が存在することが報告された。Spred-1KOマウスの外観を観察したところ野生型に比べSpred-1KOマウスでは、ヒトの皮膚構造に近いマウス尾や足底の皮膚において色が黒くなっており、色素産生が亢進していることが示唆された。また組織学的解析によりc-Kit陽性細胞数が増加しており、色素細胞の数が増加していることが示唆された。今年度の成果をもとに、色素幹細胞を用いた解析系の準備と同時に、ニッチとの関係を解析するための準備を進めている。
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Research Products
(5 results)