2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790783
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
生駒 晃彦 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (10378614)
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Keywords | 痒み / 痒み過敏 / ヒスタミン / 機械刺激 |
Research Abstract |
健常被験者延べ30名に参加いただき、前年度に引き続き、我々が新規に開発した皮膚における機械刺激による痒み誘発法を用い、その痒みの特徴を解析した。その結果、高周波数よりも低周波数の刺激のほうが痒みを生じやすいことが明らかになった。また皮膚を広範囲に接触刺激してしまうと、痒みが生じないこともわかった。また一度刺激により痒みを生じると、痒みの完全な消失までに少なくとも数秒間を要する。したがって、この刺激により機械刺激反応性のC神経が選択的に活動することで痒みが生じていることが推測される。これまでに明らかにされているヒスタミンの痒みを伝える神経が機械刺激に反応しないことを特徴とすることとは、相反することである。新たな痒みの神経経路の存在を示唆する所見である。また、この痒み刺激のあと、周囲の皮膚が痒み過敏状態となり、それまで広範囲の皮膚の接触刺激を加えても痒みが生じなかったのに対して、痒み刺激後は接触刺激でも痒みが生じるようになった。ヒスタミンなど他の痒み刺激によっても、同様の痒み過敏状態を導き出せることから、痒み過敏には末梢の経路に関わらない、中枢のメカニズムが働いていることが示唆され、アトピー性皮膚炎など痒み過敏を伴う疾患の治療法にも深く関与することであると考えられる。この研究により、これまでヒスタミンなどの化学物質に頼らざるを得なかった痒み刺激を、簡便で安全な機械刺激によっても行えることが明確になったため、今後の痒み研究に有用な研究手段が提供できたと考えられる。
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