2008 Fiscal Year Annual Research Report
EBウイルス関連疾患による全身・局所皮膚症状が引き起こされるメカニズムの解明
Project/Area Number |
19790787
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 剛伸 Okayama University, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (50379799)
|
Keywords | EBウイルス / 再活性化 / BZLF 1 / LMP 1 / 細胞障害性T細胞 / 種痘様水庖症 / 慢性活動性EBウイルス感染症 |
Research Abstract |
EBウイルス関連皮膚疾患は、種痘様水疱症(HV)に代表される予後良好で全身症状を示さない疾患群、慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)・NK/T細胞リンパ腫などに代表される予後不良で発熱などの全身症状を引き起こす疾患群に分類される。しかし、このような症状に差が生じる理由は解明されていない。ウイルス側要因、宿主側要因が関与していると考え、分子細胞学的に検討を行った。 ウイルス側要因として、EBウイルスの再活性化(溶解感染)を示すBZLF 1 mRNA発現を確認したところ、CAEBV・NK/T細胞リンパ腫の皮膚病変部で高率に発現が証明された。一方、HVでは確認されなかった。薬剤刺激によるEBウイルス感染細胞の再活性化はB細胞だけでなく、NK・T細胞でも誘導させることができた。このことより、予後不良群でEBウイルスの再活性化が皮膚病変部で存在することが確認された。 潜伏感染時に発現するLMP 1 mRNAの解析を行った。その結果、HVでは皮膚病変部はLMP1発現しており、末梢血中に発現していない例が多い。一方、CAEBVでは皮膚病変部・末梢血ともに発現していない例、皮膚病変部は陰性で末梢血は陽性である例が多い。また、同一症例でもLMP1の発現が採取時期により陽性、陰性と変化していた。 宿主側要因として細胞障害性T細胞(CTL)の反応を確認した。HVとCAEBVの皮膚病変部におけるEBウイルス感染細胞数は両者に統計学的に有意差はみられなかったが、granzyme B陽性細胞(CTL)がCAEBVの皮膚病変部に有意に多く浸潤していた。 溶解感染時は溶解感染関連抗原に対するCTLの浸潤が強く惹起され、各種サイトカインにより全身症状を引き起こすことが予想される。 潜伏感染時にはEBNA 1は抗原として認識されにくく、LMP1は発現を調節することにより、CTLに認識されず全身症状を認めないと考えられた。
|
Research Products
(1 results)