2007 Fiscal Year Annual Research Report
Adipocytokineによる皮膚有棘細胞癌の分化誘導療法
Project/Area Number |
19790791
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
井上 卓也 Saga University, 医学部, 講師 (50380754)
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Keywords | 皮膚癌 / 分化誘導療法 / adipocytokine |
Research Abstract |
皮膚有棘細胞癌の治療法、特に分化誘導法につなける結果を求めて、実験を行った。皮膚有棘細胞癌細胞株であるDJM-1細胞をコラーゲンゲル上で1週間から4週間まで培養し、DJM-1細胞が形成する上皮様構造物の形態を観察した。DJM-1細胞は、4から5層程度の層を形成しながら増殖した。脂肪細胞が分泌するサイトカインの一つであるadiponectinが癌発生を抑制する重要な働きを持つことが明らかにされてきている。今回、培養液にadiponectinを加えた実験系と、adiponectinを加えない実験系のそれぞれで形成される癌細胞層の形態を観察した。Adiponectinの存在下でもDJM-1細胞は4から5層程度の層を形成しながら増殖した。また、増養液にbrdUを24時間投与し、取り込み細胞の割合を調べることにより、増殖能を評価した。癌細胞層に発現しているケラチン蛋白(CK5,CK14,CK1,CK10)を免疫組織化学にて染色し、発現の量、局在についても評価した。これまでのところ、adiponectinの投与によるDJM-1細胞の層構造への影響は認められず、増殖抑制能、分化促進能ともにadiponectinによる影響の存在を証明できていない。今年度は、ラット脂肪細胞との混合培養を行なう前に、adiponectinに特化して癌細胞に与える影響を検討した。今後は、ラット脂肪細胞と皮膚有棘細胞癌細胞との混合培養を行ない、脂肪細胞の存在が癌細胞に与える影響について検討する予定である。また、DJM-1細胞以外の有か棘細胞癌として、HSC-1細胞を使用して同様の実験を行う予定である。これまでの実験でadiponectin投与による変化が認められなかった原因として、培養期間が長い可能性も考えられ、今後はより短い培養期間での評価方法の検討も必要と考えている。
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