2008 Fiscal Year Annual Research Report
Adipocytokineによる皮膚有棘細胞癌の分化誘導療法
Project/Area Number |
19790791
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
井上 卓也 Saga University, 医学部, 講師 (50380754)
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Keywords | 皮膚癌 / 分化誘導療法 / adionectin |
Research Abstract |
皮膚有棘細胞癌の分化誘導療法につなげる結果を求めて、実験を継続した。前年度、adiponectinの投与によるDJM-1細胞の層構造への影響は認められず、増殖抑制能、分化促進能ともにadiponectinによる影響の存在を証明できなかった。20年度は、ラット脂肪細胞と皮膚有棘細胞癌細胞との混合培養を行ない、脂肪細胞の存在が癌細胞に与える影響について検討した.その結果、単離した成熟ラット脂肪細胞との混合培養において、DJM-1細胞の形成する層構造が上層において扁平化した形態を認め、脂肪細胞がDJM-1細胞にたいして分化を促進する影響を及ぼすことを再確認できた。癌細胞層に発現しているケラチン蛋白(CK5, CK14, CK1, CK10)を免疫組織化学にて染色し、発現の量、局在についても評価した。19年度に引き続き、培養液中にadiponectinを投与してDJM-1細胞の形成する層構造の変化を観察した。Adiponectinの投与間隔や投与量など、出来る限り条件を変えて実験を行ったが、20年度も明らかな結果を得ることが出来なかった。しかしながら、皮下脂肪細胞が細胞培養系において癌細胞の分化に影響を与える事実を再確認できた。Adiponectin以外のサイトカインが影響している可能性も考えられるため、21年度は、他のサイトカインの影響を調べる実験や、培養液中のサイトカインを分析するなど、皮下脂肪細胞の皮膚有棘細胞癌に対する影響を更に検討する予定である。
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