2007 Fiscal Year Annual Research Report
強皮症における抗酸化酵素peroxiredoxin Iに対する自己抗体の解析
Project/Area Number |
19790792
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岩田 洋平 Nagasaki University, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (60437861)
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Keywords | 全身性強皮症 / Peroxiredoxin I / 酸化ストレス / 自己抗体 / 肺線維症 |
Research Abstract |
<研究結果> 1)全身性強皮症(SSc)における抗Prx I抗体 ELISA法を用いてSSc患者70名および健常人23名におけるPrx I抗体を測定した。IgG型抗Prx I抗体の吸光度は、健常人と比較し有意に上昇していた。対照的に、IgM型Prx I抗体は上昇していなかった。また、limited型SScとdiffuse型SScの両郡間でPrx I抗体に有意な差は認められなかった。健常人の吸光度の平均値+2SD以上を陽性と判定したところ、SScでは33%(23/70)が抗Prx I抗体陽性であった。対照的に、健常人では陽性例は認められなかった。このように、抗Prx I抗体はSScで有意に上昇していることが明らかとなった。 2)SScにおける抗Prx I抗体と臨床所見との相関 抗Prx I抗体と臨床所見との相関を検討した。抗Prx I抗体が陽性であったSSc患者では、陰性であったSSc患者と比較して、罹病期間がより長く、肺線維症、心臓疾患、抗トポイソメラーゼI抗体、血清ガンマグロブリン値の上昇、血沈亢進がより高率に認められた。さらに、抗Prx I抗体価は%DLco、%VC、酸化ストレスの血清マーカーである8-isoprostane値および腎血管抵抗の指標であるpulsatility indexと正の相関を示した。 <研究の意義> 今回の研究で、SSc患者では健常人と比較して抗Prx I抗体が有意に高値を示すことが明らかとなった。さらに、この自己抗体はSSc患者における肺線維症の重症度、腎血管障害の程度、高ガンマグロブリン血症、血沈の亢進と相関を認めた。このことから、抗Prx I抗体はSScの重症度を反映する有用な血清マーカーとなりうることが明らかとなった。
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