2008 Fiscal Year Annual Research Report
ソニックヘッジホッグによるリンパ管新生を介した難治性皮膚潰瘍治療の基礎研究
Project/Area Number |
19790795
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
浅井 純 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 助教 (50438222)
|
Keywords | 皮膚潰瘍 / ヘッジホッグ / リンパ管 / マクロファージ |
Research Abstract |
糖尿病性潰瘍をはじめとする難治性皮膚潰瘍に対する治療法としては、血流改善剤等の全身投与、種々の外用剤の使用、植皮術などの外科的治療が行われているが、これらの治療に抵抗性の場合も多い。そこで本研究者はヘッジホッグという胎生期の器官形成に関与するモルフォゲンに着目し、ヘッジホッグによりリンパ管・血管新生が促進するかどうか検討した。まず、ヘッジホッグがマクロファージを介したリンパ管新生を促進することを示した。その機序として、マクロファージ自身のリンパ管内皮細胞への分化に対するヘッジホッグの作用を検討した。ヘッジホッグ刺激によりマクロファージの脈管形成能は著明に亢進し、またリンパ管関連因子の遺伝子発現も亢進を認め、ヘッジホッグはマクロファージのリンパ管への脈管形成、分化を促進することが示された。また、タンパクによる刺激のみならず、ヘッジホッグ遺伝子をマクロファージに遺伝子導入して同様の実験を行ったところ、ヘッジホッグ遺伝子導入を行ったマクロファージでは対照マクロファージに比べて有意に脈管形成能が亢進し、ヘッジホッグの下流の転写因子であるGhを同様に遺伝子導入したマクロファージでも有意に脈管形成能が亢進した。また、ヘッジホッグによる脈管形成能は、Akt/PI3K経路を阻害することにより障害された。つまりヘッジホッグの伝達経路は、下流のシグナルである転写因子Gh-1, 3を介し、さらにはAkt/PI3Kにより調節されていることが示された。以上のことより、ヘッジホッグは血管だけでなく、マクロファージをかいしてリンパ管新生をも促進させ、難治性皮膚潰瘍などの新たな創傷治癒促進剤として臨床応用できる可能性を秘めていることが示唆された。
|
Research Products
(3 results)