2007 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚アレルギー性接触過敏反応におけるリンパ管の機能解析
Project/Area Number |
19790796
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
森安 麻美 Kyoto Prefectural University of Medicine, 付属病院, 専攻医 (40433271)
|
Keywords | 皮膚遅延型接触過敏反応 / リンパ管 / VEGF-C / LYVE-1 |
Research Abstract |
皮膚の炎症におけるリンパ管の役割や経時的なリンパ管の形態学的な推移については未だ不明な点が多く,そのメカニズムの解明が期待されている。初めにマウスの耳介にtrinitrochlorobenzeneを塗布して接触過敏反応を誘導し,経時的に組織を採取して,リンパ管の拡張・新生をLYVE-1の免疫染色と画像処理による定量評価により解析した。接触過敏反応による慢性炎症が生じている時の耳介皮膚組織では,リンパ管の拡張と増生がみられ,接触過敏反応を止めると約10日で耳介腫脹が軽快し,リンパ管のサイズや数は正常まで戻っていた。皮膚に対する化学的刺激により血管透過性が誘導され組織液の貯留や浮腫が生じるが,リンパ管がこれらの組織修復に関与している可能性が示唆された。リンパ管新生では,VEGF-Cがリンパ管内皮細胞に特異的に発現するVEGFR3に作用することで,その分化や増殖を誘導することが知られている。そこで次にヒト由来のVEGF-CおよびVEGFR3-Ig融合蛋白を発現すべく組み込まれたAAVベクターを尾静脈から静注し,トランスジェニックマウスを作成し,これらを用いて接触過敏反応を誘導した。経時的な耳介の腫脹を比較すると,VEGF-C発現マウスではコントロールに比べ速やかに腫脹が減少し,リンパ管新生を阻害しているVEGFR-3-Ig癒合蛋白投与群では腫脹の改善が遅延し,炎症が持続していた。このことからVEGFR-3を介したVEGF-Cによるリンパ管新生が,炎症において組織修復を促進する可能性が示唆された。今後はさらに組織でのリンパ管の形態変化と,PCRによるリンパ管関連因子の発現を定量評価する予定である。これらがリンパ管新生を活性化又は阻害する因子や,新生したリンパ管の退縮を促進する因子の解明につながり,さらには炎症性皮膚疾患に対する治療法の新たな標的となる可能性が期待される。
|
Research Products
(1 results)