2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19790810
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
吉木 竜太郎 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 助教 (30412646)
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Keywords | 接触皮膚炎 / 植皮 / 免疫抑制 / ランゲルハンス細胞 / 調節性T細胞 / RANKL / IL-10 |
Research Abstract |
植皮部における接触皮膚炎感作の抑制を考えるに当たり、植皮という皮膚局所の環境変化が抗原提示細胞の機能に影響を与えるということを仮定して実験を進めてきた。今回の研究によりまず(1)植皮部においてランゲルハンス細胞はアポトーシスに陥り、その数が減少すること(2)植皮部に残存した抗原提示細胞は遊走能、抗原提示能ともに残存していること(3)植皮部ランゲルハンス細胞は表皮ケラチノサイト上に発現するRANKLとの相互作用によりIL-10産生能力を有するようになること(4)IL-10産生性ランゲルハンス細胞が所属リンパ節へ遊走し抗原特異的調節性T細胞が誘導されること、が明らかとなった。 今回の研究結果により、皮膚へ特殊なストレスを与えることで皮膚局所の環境変化を生じさせ、ランゲルハンス細胞を含めた抗原提示細胞の機能を変化させることが可能であるということが判明した。また、外的刺激により「抗原特異的免疫抑制」を誘導する「調節性樹状細胞」を誘導できる可能性が示唆されたという上で大きな意義がある。 現在の皮膚科治療はいわゆる対症療法がほとんどである。しかし最終的には、抗原特異的調節性T細胞を誘導するため「調節性樹状細胞」を植皮以外の方法で人為的に効率よく誘導することが目標であり、その可能性とその糸口となる研究成果であったと思われる。この研究をさらに発展させることで皮膚科領域に限らず、いわゆるアレルギー性疾患治療の臨床応用に役立つ重要な結果であると考えられた。
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