2008 Fiscal Year Annual Research Report
学童期の高機能広汎性発達障害児における多動性と不注意
Project/Area Number |
19790831
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
宮脇 大 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 講師 (20336788)
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Keywords | 広汎性発達障害 / 高機能自閉症 / ADHD / 児童 / 併存症 / 多動性 / 不注意 |
Research Abstract |
【目的】DSM-IVなど現在の診断基準では、広汎性発達障害(以下PDD)と診断されれば、注意欠陥多動性障害(以下ADHD)は併存診断されないとされている。しかしPDD児はしばしばADHD様症状を伴う議論となっているものの一定の見解を得られていない。そこで、高機能PDD児における多動や不注意症状について調査することにした。 【対象】大阪市立大学医学部附属病院神経精神科に通院中の、精神遅滞を伴わない6-15歳のPDD児73例(10.0±2.5歳)とADHD児34例(8.7±2.2歳)を対象とした。 【方法】親に研究の主旨を説明し書面にて同意を得た上で、質問紙としてADHD rating scale(以下ADHDRS)、子供の行動チェックリスト親版(以下CBCL)を実施した。また、PDDにおけるADHDの併存診断を行ったうえで、ADHD混合型(ADHDC)に限定して、PDD+ADHDC、ADHDC、PDDの3群比較を行った。 【結果】ADHDRSに関しては、PDD群と比較して、ADHDC群とPDD+ADHDC群は、不注意、多動-衝動性の両得点が有意に高く、一方、ADHDC,PDD+ADHDCの2群間において有意差が認められなかった。CBCLに関しては、PDD群と比較して、ADHDC群とPDD+ADHDC群は、非行的行動、攻撃的行動、外向得点の得点が有意に高く、一方、ADHDC, PDD+ADHDCの2群間において有意差が認められなかった。 【結論】高機能PDD児における多動、不注意症状について、ADHDと比較して、不注意症状や多動衝動性症状の重症度、関連症状等が類似しており、PDDに併存する多動、不注意症状をADHDと併存診断することの妥当性が示唆された。
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